Ian Whittaker
4 日前

アジア勢はカンヌで存在感を高めることができるか?

今年のカンヌ映画祭におけるアジア勢の存在感の低さを、イアン・ウィテカー氏が指摘。アジア勢の存在感を高めることが、すべての人々により良い学びの機会となり得る理由を語る。

アジア勢はカンヌで存在感を高めることができるか?

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

2024年のカンヌライオンズが閉幕し、参加者たちが長い一週間を終えて帰国すると、広告業界は平常に戻る。私はこの1週間カンヌに滞在していたが、いつものように賑やかで慌ただしいイベントで、昨年よりも忙しそうだった(カンヌライオンズを運営するアセンシャル社によると、今回は特に売上が大幅に増加したことから収益が「非常に好調な2桁台の伸び」を示したという)。 AIやリテールメディアといった話題が取り上げられたのは予想通りだったが、企業とその収益性にとっての広告の重要性というトピックが取り上げられたのは意外であり喜ばしくもあった。しかし、この1週間ずっと引っかかっていたことがある。アジア勢はどうしたのだろうか?

中国は世界第2位の広告市場であり、日本もトップ5に入っている。インドやインドネシアなどの市場には、大きな成長機会が見込まれる。WPP傘下のグループエム(GroupM)が今月発表した2024年の世界広告費予測では、成長率が5.3%(12月時点の予測)から7.8%へと大幅に上方修正されており、主な要因は中国での成長率の大幅な上昇だ。確かにTikTokはカンヌで目立っていたが、同社は成長のために欧米市場に焦点を当てているグローバル企業と言っていいだろう。アジアを拠点とする企業の存在感は控えめだった。

だから何だ?と言われるかもしれない。結局のところカンヌライオンズは、ある地域に特化したコンテンツよりも、全体的なトレンドや、業界で世界的に起きていることの洞察に重きを置いているといえるかもしれない(たとえば、北米や欧州の消費者に限定されたニーズに関するコンテンツはほとんどなかった)。

中国のハイテク大手であるアリババ(阿里巴巴集团)、バイドゥ(百度)、テンセント(腾讯)は、主に自国にフォーカスを当てている。中国のメディアは独自のエコシステムを形成している。ローカルな広告会社が優位に立つ日本や、そして独自の特徴を持つインドについても同じことが言える。そして以前にも論じたように、大手広告グループはその収益の多くを欧米市場に依存している。(カンヌライオンズに1週間参加する費用など、より現実的な問題もあるだろう)

しかし、トピックや参加者の選定に関しては、もっとグローバルな視点があってもよかったのではないか。ソーシャルコマースのように、欧州や北米などの市場で潜在的なビジネスチャンスとして語られてきたトピックで、特定のアジア市場では既にトレンドとなっているものがいくつかあったため、アジアの視点が貴重な洞察を提供した可能性があるのだ。アマゾン(Amazon)、グーグル(Google)、メタ(Meta)はいずれも強い存在感を発揮していたが、アリババ、バイドゥ、テンセントといった中国企業のアプローチとの類似点や相違点を見出すと有益だったであろう。すべての市場は、互いに学ぶことができるからだ。

この点について、誰かに非があったとは思わない。アナリストとしてアセンシャル社を取材したことがある私は、彼らが収益の最大化に熱心で、アジア太平洋地域からの参加者を増やしたがっていたことは知っている。さらに、参加に後ろ向きな企業や人々を、強制的に参加させることはできない。1週間の滞在にかかる費用を考えれば、企業は価値があると判断した場合にしか参加しないだろう。しかし、このフェスティバルは北米と欧州を中心としたアプローチをとっているように感じた。世界有数の広告主がこの街に集まっているのだから、世界の他の地域で何が起こっているのかをもっと聞くことができれば、誰にとっても有益だっただろうと思う。

なお、この記事は投資家向けのアドバイスではないことも付記しておく。


イアン・ウィテカー氏は英コンサルティング会社「リバティ・スカイ・アドバイザーズ(Liberty Sky Advisors)」の創業者で、マネージングディレクターを務める。

 

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