* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
カンヌライオンズが閉幕し、世界の広告業界は来年の開催まであと12カ月は心穏やかに過ごせることだろう。今年のテーマは、AIの重要性と今後起こり得ること、リテールメディアの台頭とそれがもたらす結果と、多くは予想通りのものだった。そして自分が参加しているのが広告祭なのかテクノロジー系のイベントなのか分からなくなるほど、膨大なテクノロジーソリューションについても触れられていた。
しかし、あるテーマも非常によく話題に上った。それは企業のボトムライン(売上)やトップライン(利益)の改善に直結する、広告とクリエイティブの役割についてだった。ここにクリエイティブにとって、そして大手広告会社にとってのチャンスがある。
マクドナルドの最高財務責任者(CFO)であるイアン・ボーデン氏がプレゼンテーションの中で、同社におけるマーケティングの重要性を強調したことが、おそらく最大のハイライトであった。「当社はマーケティングに多額の資金を投じており、これは企業が成長を促進するために行う最も重要な投資の一つ」と述べ、同社の最高マーケティング責任者(CMO)のモーガン・フラットリー氏が経営陣や取締役会に対し、いかに広告が価値を高めるかをデータと分析を駆使して示した件を紹介した。
これは私がコラムの中でよく論じる「広告は投資である」という話題、あるいは「広告は無形の資本的支出」であるという内容に関連している。さらに、このメッセージを効果的に伝えるには、CEOやCFO、取締役会と同じ言語を話す必要がある。経営陣は快く耳を傾けてくれるだろう。消費者の予想をはるかに超える大幅な値上げを断行できたのはブランド力のおかげだったと、複数のCEOやCFOがこれまで何度も述べてきた。
広告は投資であるというメッセージが伝わり始めているのであれば、広告業界にとって明らかにプラスだろう。だが、特に大きな変革をもたらす可能性があるのは、クリエイティブの領域だ。一般的にクリエイティブは成長率や利益率が低い事業だと見なされ、広告会社にとっての潜在的な価値の源泉としてではなく必要悪としてとらえられることが多い。しかしブランド力がボトムラインに直接貢献していると企業が考えているのであれば、クリエイティブな仕事には十分な報酬が支払われるべきで、異論をさしはさむ余地は無いはずだ。
これは、大手広告会社にとってチャンスといえる。まず考えられるのは、財務面への影響だ。どの大手広告会社もクリエイティブの利益への貢献を分けてはいない。だが、その中でも最も透明性の高いWPPを見てみると、2023年の営業利益のうちクリエイティブによるものはわずか5%だったと私は推測する。クライアントにもっと支払ってもらえば、この数字は増えるはずだ。
しかし、これらの企業の株価に、もっと大きな影響を与える可能性もある。広告大手企業は、セクターとして市場で特に評価されているわけではない。過去5年間でS&P500(米国大型株の動向を示す指標)は80%以上上昇しているが、インターパブリック(Interpublic)、オムニコム(Omnicom)、WPPなど大手広告グループは軒並みこれを大幅に下回っている。その一部が運用パフォーマンスに関係しているのは間違いない。この期間に140%以上の大幅な業績向上を遂げたピュブリシス(Publicis)は、これまで長きにわたって予測を上回る業績を上げてきた。しかし、多くのアナリストや投資家がクリエイティブを付加価値の少ないビジネスとみなしていることが根本にある。この認識を変えれば、格付けは改善するはずだ。
もちろん、広告大手が広告主にもっと大きな額を支払ってもらえるよう期待するだけではだめだ。マクドナルドのプレゼンテーションで明らかになったように、データや確固たる事実によって正当性を立証する必要がある。しかし、タイミングとしては完璧かもしれない。広告主が、売上を伸ばす上でのクリエイティブの価値に気付き始めている。さらにAI導入によって従来の原価加算方式やFTE(フルタイム当量)といった報酬モデルはますます時代遅れに映るようになり、今回のテーマである成果報酬モデルへと移行しつつある。今こそ広告会社は、自分たちの仕事に対してもっと報酬を受け取るべき理由を、広く世の中に伝えるべきなのだ。
イアン・ウィテカー氏は英コンサルティング会社「リバティ・スカイ・アドバイザーズ(Liberty Sky Advisors)」の創業者で、マネージングディレクターを務める。なお、このコラムは投資家向けのアドバイスではない。