このキャンペーンを仕掛けたのは、ワイデン+ケネディ東京。限界に挑む日本人アスリートや一般の人々を取り上げ、彼らをサポートするナイキの姿勢を表現した。60秒のスポットCMでは、日本の社会や教育現場が押しつけようとする「限界」と、それを乗り越えようとするアスリートたちを対比して映し出す。登場するアスリートたちは、サッカーの伊藤涼太郎選手(浦和レッドダイヤモンズ)、陸上の高松望ムセンビ選手、バスケットボールの落合知也選手(リンク栃木ブレックス)、ダンスの菅原小春氏など。ナイキのウェブサイトでは、挑戦を続ける彼らアスリートのストーリーも公開されている。
さらに、「#身の程知らず」ではスポーツシーンをソーシャルメディアに投稿するプロジェクトや、実際にスポーツにチャレンジするイベントも実施。今回のキャンペーン・テーマは、同じくワイデン+ケネディが去年韓国で展開したもののバリエーションだ。韓国では10代の若者たちに向けて、受験戦争の重圧をスポーツで跳ね返そうというメッセージを発信した。
Campaignの視点:
「身の程を知れ」と若者たちに諭すことは、単に個人の問題に留まらず、ややもすると国全体の自粛を促す空気の醸成になりかねない。ナイキのようなパワフルなブランドが、各市場の社会的課題に独特の手法で光を当てるのは歓迎すべきことだろう。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:高野みどり 編集:水野龍哉)