ナイキ、アディダス、ベン&ジェリーズ(アイスクリームチェーン)といった著名ブランドは先週末、全米に広がる「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動を支持する姿勢を鮮明に打ち出した。
黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官によって殺された事件をきっかけに、人種差別主義に対する抗議行動は世界各地に広がる。
米国では「人種的マイノリティーへの暴力をやめよ」と訴えるデモ隊に対し、警察がゴム弾や催涙ガスで対抗。25都市で夜間外出禁止令が出されたが、抗議の勢いは止まらない。
こうした状況の中、多くのブランドが「ブラック……」運動への賛意を明確にした。
ナイキは字幕だけの力強いスポットCMを公開。同社の有名なキャッチコピーを逆手に取った「Don’t do it」という言葉で始まり、慣習化した人種差別をなくす「変革に参加」し、「事態を静観せず、沈黙するな」と訴えかける。制作はワイデン+ケネディ。
ライバル社のアディダスはいち早くこのCMに支持を表明。「連帯こそ前進。連帯こそ変革を生む」という言葉を添え、ツイッターでCMをシェアした。
2014年にミズーリ州ファーガソンで起きた白人警官による黒人少年射殺事件以来、「ブラック……」運動を公然と支持するベン&ジェリーズは、今回も重厚な声明を発表。
人種に起因する不正は「まさしく現代における公民権と社会正義を揺るがす問題」であり、すべての人々が「蔓延・慣習化した人種差別と取り組む必要がある」。そして、「すべての命が大切。しかし、黒人の命が尊ばれなければそれは実現しない」と訴えた。
また、いくつかのブランドはロゴマークを変更して抗議運動への支持を表明。グーグルは米国内向けホームページに黒いリボンを添えて、メッセージを付記。サンダー・ピチャイCEOは「人種間の平等、そしてそれを実現しようとするすべての人々を支持する」というメッセージとともに、このロゴをツイッターで拡散した。
ツイッターはハッシュタグ「#ブラック……」を追加し、ロゴマークを白黒のヴァージョンに。同社は先週、トランプ大統領の投稿に対し「暴力を美化している」と警告を発した。
ネットフリックスもツイッターを通して自社の立場を表明、人々に声を上げ、変革を起こすよう呼びかけた。「沈黙は人種差別への加担を意味する。我々にはプラットフォームがあり、黒人のメンバーや従業員、クリエイター、そして才能ある人のために声を上げる義務がある」。
アマゾンは黒人アーティストや作家、プロデューサーたちの果たす役割を称え、「黒人コミュニティーと連帯し、人種差別や不正に対して共に闘う」と発表。
ディズニーも、「我々の仲間である黒人従業員、ストーリーテラー、クリエイター、そしてすべての黒人コミュニティーの人々を支持する」と表明した。
(文:エメット・マクゴナグル 翻訳・編集:水野龍哉)