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アイリス、広告主企業の気候変動対策にインセンティブ
ロンドンに拠点を置くアイリス(チェイル傘下)が、クライアントに気候変動への取り組みを促す「クライアントキックバック」プログラムを開始した。海外出張の削減、サステナブルな生産工程、サステナブルな行動をクリエイティブで促進することなど、同社が定めた5つの基本方針に基づく行動をクライアントに求める。取り組みによって削減された分は、アイリス社の専門部隊によるコンサルティングを無料で受けることができる。同グループ内のチェイル、バーバリアン、BMB、マッキニーもこのイニシアチブに参加する。
「2019年にはグローバルで1.4兆ドルが出張に費やされましたが、時間やお金を節約し、地球を守るスマートな働き方が可能であることが2020年に明らかになりました」と、アイリス社のグローバル・チーフ・ストラテジー・オフィサー、ベン・エッセン氏はコメント。「気候変動に大胆に取り組むよう、クライアントを力づけることは我々の仕事です」
ウイグル人権問題への日本ブランドの対応
新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐる欧米諸国と中国の対立が深まる中、日本企業の対応にも注目が集まっている。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正 会長兼社長は8日の決算会見にて、工場や綿花の生産に関して「問題があったら取引停止している」とし、「政治的に中立なので、これ以上発言すると政治的になるのでノーコメントとさせてもらいます」と述べた。
無印良品を展開する良品計画は14日、綿生産のサプライチェーンに関するプレスリリースを発表。同社商品の綿を栽培する作業者のプロフィールや人員計画などを把握しており、第三者機関による監査も行うなど重大な違反は確認していないと述べた。
一方でカゴメが、新疆ウイグル自治区で作られたトマトの使用を今年中に終了すると報じられた。コストや品質、人権問題などを総合的に判断した結果だという。同地区からの調達をここ数年で減らしており、2020年に輸入を停止している。現在はグループで使うトマトの1%に満たないという。
豪戦略政策研究所(ASPI)が昨年春に発表したレポートでは82のグローバルブランドが、ウイグル人強制労働に直接的あるいは間接的な関与を指摘されている。この中で名指しされた日本企業に、日本ウイグル協会は質問状を送り、回答内容を公開。今年は人権団体ヒューマンライツ・ナウと共にフォローアップ調査を実施している。
アドフェスト2021、受賞作品を発表
アジア太平洋広告祭「ADFEST 2021」の授賞式が8日、オンラインで開催された。国内からは、以下の作品がゴールドに選ばれた。
【デザイン部門】
江崎グリコ/ポッキー「Pocky THE GIFT」(電通)
【エフェクティブ部門】
双日/TUNA SCOPE(電通、電通ライブ、シンディ)
【フィルムクラフト部門】
東亞合成/アロンアルファ「時間があまるCM」シリーズ(読売広告社、太陽企画)
また、伊東市「まくらで、戦え。」(FACT、TYO MONSTER)が、ロータスルーツを受賞した。特別賞の一つ「ネットワーク・オブ・ザ・イヤー」には博報堂グループが選ばれた。
カンヌライオンズ、審査員を公開
今年6月下旬にオンラインでの開催が決定したカンヌライオンズの、審査員285名が公開された。審査員の中の女性の割合は、48%(2019年)から上昇し51%に達した。審査員の一覧はこちら(英語)。
残念なことに、アジア太平洋(APAC)地域の審査員はわずか41名(全体の14%)。中にはマーリー・ハイミー氏のように、グローバルを統括する立場にあるためAPACの人数に含まれていない人物もいるが、それでも人口や市場の大きさを考慮すると、この人数は少なすぎるだろう。
ヘガーティ卿、AIマッチング企業の会長に
BBHの共同創業者であるジョン・ヘガーティ卿が、AI(人工知能)を用いてエージェンシーとフリーのクリエイターをマッチングする「ミート・ジーニー(Meet Genie)」のチェアマンに就任した。クリエイター(登録は招待制)とエージェンシー(費用は従量課金制)の両者からの知名度向上に役立つものと考えられる。
ヘガーティ卿は、3名のヘッドハンターが2019年に創業した同社の会長職に就くだけでなく、多額の投資も行っている。同氏は2017年にも、インフルエンサーマーケティングエージェンシー「ウェイラー(Whalar)の会長に就任し、出資もしている。
2020年に最も効果が高かった広告は…?
カンターが、2020年の広告の中で最も効果の高かった20作品を発表した。同社の広告テストツール「リンク(Link)」を用い、1万件の作品の中から選出。一位に選ばれたのは、ジェンダーバイアスをテーマにしたハイネケンの「みんなに乾杯(Cheers to All)」。20作品のリストはこちら(英語)。
(文:田崎亮子)