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広告主としても広告媒体としても最大級となったアマゾン
アマゾンが発表した2021年の年次報告書によると、製品・サービスの売上を伸ばすために充てた広告・販促費が169億米ドルに達した。2019年に110億米ドルに達して世界最大の広告主となったものの、2020年は109億米ドルに減額。だが2021年は前年同期比55%増と大幅に増加し、「史上最大の広告主」となりそうだ。
AWS関連の手数料などを含むマーケティング費用は、326億米ドルだった。2020年(220億米ドル)から大幅に増えた主な理由として、パンデミックで抑制されたマーケティング活動の揺り戻しや、マーケティングや販売に従事する人員の給与や経費が増えたことを同社は挙げる。
総売上高は4698億米ドル(同21.7%増)。このたび初めて公開された、広告サービスの売上高は312億米ドル(同32%増)で、総売上高の6.6%にあたる。電通グループ「世界の広告費成長率予測」を見ると、2021年の全世界の雑誌広告費(210億米ドル)とあり、アマゾンの広告売上高はこれを既に超えている。新聞広告費は317億米ドル(2021年)で、2022年は304億米ドルになるという予測であるため、これも年内に超える見込みだ。
アドテク企業がスーパーボウルでCM
スーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)が、いよいよ週明けに開催される。多くの広告はBtoC企業によるものだが、アドテク企業のクリテオ(Criteo)が3都市で出稿する予定だという。
カフェで女性がコーヒーを待つ間、スマートフォンを見ようとすると「クリックする前に待って」と登場するのは、この女性の20年後の姿。さらには、もっと未来から来たという女性が次々と現れ、未来はどうなるかを口々に言い立てる。「自分に、そして未来の自分にとって最適なものを選択できるオープンなインターネット」を同社が作っているというのが、CMのメッセージだ。
CMOのブレンダン・マッカーシー氏は、CMの目的についてこのように語る。「オープンなウェブといったコンセプトは、テクノロジー業界内のニッチなものです。しかしスーパーボウルであれば、試合だけでなく広告にも注目する、広告に精通した視聴者にも目に留めてもらえます」。
グレイのCBOに岡咲匡彦氏、SCDに中島和哉氏
グレイワールドワイドの最高ビジネス責任者(CBO)に岡咲匡彦氏、シニアクリエイティブディレクターに中島和哉氏が就任する。岡咲氏は博報堂、TBWA、R/GAを経て、直近はTBWA HAKUHODOでプランニングならびにコンサルティングを率いた。
中島氏はADKを経て、2013年からドリルに参画。クリエイティブディレクター/コピーライターとして、レノボ、明治、サントリーなどを手掛けた。
良かれと思って加えた修正で、意味不明な広告が誕生
度重なる修正指示に対応するうちに、支離滅裂なCMになっていく――。広告界の「あるあるネタ」を題材に、ブランド名を何度も繰り返すのはタイのクレジットカード「ファースト・チョイス(First Choice)」だ。
メタバース空間でCMを撮影していると、クライアントから「もっとブランドカラーを」「登場人物の顔にひと工夫を」「目の色がアジア人らしくないから、発音も欧米風に」「若者の間で人気なスラングも入れて」「当社のカードにもっと価値を足せないか」「登場人物をもっと最大限に活用したい」と指示が次々と入る。
「メタバースらしく背景を変えて」と指示が入ったところで、男性が忽然と姿を消す。どうやらログアウトしてしまったらしい。仕方なく女性が二役を兼務することに。だがクライアントは「ダンスさせてみては?」「あるいはラップ?」とまだ迷っているようだ。一番最後のブランドロゴにも「もっと大きく」と注文が入る。制作はレオ・バーネット・タイ。
似たような切り口の作品には、2017年に日清食品がツイッターに投稿した4枚の画像があるが、万国共通の悩みなのかもしれない。
(文:田崎亮子)