1. イスラム過激派のコンテンツは、今もデジタル広告の脅威
CMOカウンシル(Chief Marketing Officer Council)がダウジョーンズの協力で行った調査によれば、世界中の4分の1のマーケターが「自社、及び自らの手がける広告が恥ずべき不快なオンラインコンテンツと並行して表示された」と報告したという。またプログラマティック広告を利用する広告主の70%以上が、ブランド・インテグリティ(誠実さ)とプレースメントを懸念。それもそのはずで、消費者の半分は不適切なコンテンツと並んで表示されるブランドに関し、「購入を考え直す」と回答。更に60%以上は、信頼のおけるメディアに載っている広告には「好意的に反応する」と答えた。
2. 「コマースは買うだけではない」とユニリーバCMO
アドバタイジングウィーク・ニューヨークで講演を行ったユニリーバのキース・ウィードCMO(最高マーケティング責任者)は、同社の新たなマーケティング方針を「5C」と表現した。すなわち“consumers(コンシューマー、消費者)”“connect(コネクト、つながり)”“content(コンテンツ)”“community(コミュニティー)”、そして“commerce(コマース)”。「第一に、消費者を考慮せずにブランドをスタートさせてはなりません」。同社の現在の広告はほとんどが不適切で、ユーザー体験を損ねており、コネクトの面では「依然四苦八苦している」とも。そして「消費者と協力して作り出す価値は継続する」と強調した。更に「おそらく最も大切なポイント」として、「コマースがもはや売買だけではなくなった」と指摘。今ではブラウジングや利便性、実用性、そしてエンターテインメントなど、「消費者の全ての体験を意味するのです」。
3. トランプ大統領は、米国ブランドのイメージを損ねず
既に多くの人々は、トランプ大統領が予想通り理解しづらく、滑稽で厄介な存在と考えている。だがJWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)が中国やインド、メキシコ、ロシア、英国、そして米国で行った調査では、米国の国際的イメージはやや傷ついたものの、ブランドには影響を与えていないという結果が出た。米国ブランドを支持すると答えた人は最も低い英国で78%、最も高い中国とインドでは93%。アップルやコカ・コーラ、ナイキといった知名度の高いブランドに対する印象は、「高品質」かつ「革新的」で「高価」。また、グローバリゼーションが生んだ「奇妙な勘違い」なのか、メキシコ人の63%は「コカ・コーラはロシアのブランド」と答えている。
4.英国の女性マーケターの収入は、男性よりも17%低い
チャータード・マネジメント・インスティチュート(Chartered Management Institute)が今週実施した調査によると、英国の女性マーケターの年収は男性マーケターのそれに比べて120万円低いことが分かった。これはマーケティング業界の男女の収入格差が17.3%であることを示す。この結果は良くないものの、全業界の平均値である26.8%よりは低い数字だった。ともあれ、男女の格差を明確に把握することこそが改善への第一歩。日本でもじきに、同様の調査が実施されることを期待したい。
5.掃除機メーカーが自動車市場に挑戦
最近の企業の多角化戦略では、紛れもなく最も興味深いものの1つだろう。英家電メーカーのダイソンが2020年までに電気自動車を発売すると発表した。報道によればこのプロジェクトには既に400人が携わっており、同社は26億米ドル(約2860億円)を投資する予定だという。この驚きのニュースからは2つの教訓が読み取れる。1つは、どんな業界であれ、明日の良きライバル企業は今のそれとはまったく異なる会社になり得るということ。そして2つめは、特定の製品や分野に頼るよりもイノベーションをベースにブランドを展開する方が、自社の「DNA」を維持した多角化に成功できるということだ。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)