Ryoko Tasaki
2024年7月26日

世界マーケティング短信:グーグルがCookie廃止方針を撤回

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

(画像:Getty Images)
(画像:Getty Images)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

サードパーティCookie廃止を取りやめ 選択肢を増やす方針

ChromeブラウザからサードパーティCookieを段階的に廃止すると発表し、その期限を何度か延長してきたグーグル(Google)だったが、Cookie廃止の方針を撤回すると発表した。

同社のプライバシーサンドボックス担当バイスプレジデントであるアンソニー・チャベス氏は声明で、代わりに「ユーザーの選択肢を増やす新しいアプローチ」を提案すると述べた。ユーザーは十分な情報をもとに選択でき、それをいつでも変更できるようにするという。

「これまで4年間、プライバシーサンドボックスの開発やテスト、導入に協力いただいたすべての組織や個人の皆さまに感謝しています」とチャベス氏。「このアプローチを最終決定するにあたり、CMA(英競争・市場庁)、ICO(英個人情報保護監督機関)、その他世界中の規制当局と協議を続けていきます」。

グーグルは今年1月、Chromeユーザーの1%を対象にサードパーティCookieの制限を開始した。だが2月にはCMAが、完全廃止までに対処する必要がある懸念事項がまだいくつかあると表明。これを受けて同社は4月に、廃止の期限を2025年に延期すると発表していた。

アルファベット、第2四半期の売上高が予想を上回る

グーグルの親会社であるアルファベット(Alphabet)が第2四半期の決算を発表した。広告事業とクラウド事業が好調で、売上高がアナリストの予想を上回る結果となった。

全体の売上高は847.4億米ドル(前年同期比+14%)、純利益は236億米ドル(同+28.6%)。主要な収入源である広告の売上高は646億米ドル(同+11%)で、その内訳はグーグル検索等が485億米ドル、ユーチューブ広告が87億米ドル、グーグルネットワークが74億米ドルだった。パリ五輪やさまざまな国での選挙により、デジタル広告の需要が高まっている。クラウド事業は103億米ドル(同+28.8%)と初めて100億米ドルを超えた。

ピュブリシス、成長予測を上方修正

ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)は上半期の業績が予想を上回っていたことから、2024年のグローバル全体での成長予測を4~5%から5~6%に上方修正した。

同社が発表した決算によると、第2四半期のオーガニック成長率は世界全体で+5.6%、特にアジア太平洋地域は+7.7%と好調。同社にとって最も重要な市場である米国は+5.3%、欧州は+4.2%だった。

メディアモンクスが「モンクス」に AI活用事業に注力

S4キャピタル(S4 Capital)傘下のメディアモンクス(MediaMonks)がリブランディングを行い、モンクス(Monks)となる。また業務をマーケティングサービスとテクノロジーサービスの2本に統合した。どちらの事業にも、マーケティングのワークフローを自動化するAIソリューション「モンクスフロー(MonksFlow)」を搭載する。

「今日の多くのエージェンシーは、テクノロジーによって世界が大きく変化していくスピードに苦戦しています。私たちは従来のモデルを打破することを目標としており、(今回のリブランディングは)その道のりの重要な節目の一つとなります」と、S4キャピタルの創業者兼CEOであるマーティン・ソレル卿は述べる。

同社の共同創業者であるウェスリー・ター・ハール氏は先月Campaignに対し、メディアバイイングはAIの台頭によって「最初に消える分野」の一つになるだろうと語っていた。「メディアバイイングは2000年代初頭の旅行会社のよう。突然いなくなって初めて、その存在に驚かされるのです」。

共に社会課題に取り組むアジアのアスリートを応援 トヨタ

トヨタ自動車が、オリンピック・パラリンピックの有力候補「グローバルチームトヨタアスリート(GTTA)」のアジアの選手11名(そのうち9名がパリ五輪に出場予定)の歩みを称える動画を公開した。

同社は「すべての人に移動の自由を」という考えで、2018年からグローバル企業チャレンジ「Start Your Impossible」に取り組んでいる。特設サイトでは、同社が支援するアスリートへの応援メッセージを贈ることができる。

今回の動画に登場するアスリートたちは、周りで支えてくれる人々の応援から大きな力をもらえることを語っている。制作はDentsu Creativeシンガポール。

17地域・市場で展開するこのキャンペーンについて、トヨタ モーター アジアの副ゼネラルマネージャー、ケニックス・ロー氏は「私たちは長年にわたり、スポーツに情熱を注ぐだけでなく、より良い世界のため変革の担い手になりたいと願うアスリートたちと提携してきました」と語る。そして、社会課題に取り組む彼らを「デュアル・ヒーロー」と呼び、「世界最大のスポーツ大会で、デュアル・ヒーローたちの活躍を祈っています」。

(文:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

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