Ryoko Tasaki
2022年3月18日

世界マーケティング短信:広告界で続く「脱ロシア」

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

HSBCがサ・サンドボックス内に購入した仮想土地
HSBCがサ・サンドボックス内に購入した仮想土地

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

広告大手、ウクライナ情勢を受けてロシアでの事業を見直し

電通グループはロシアとの合弁会社(従業員は約1,500名)を、相手先企業へ譲渡する方向で交渉を進めている。声明によると「従業員や関係者の安全と安心に加え、グローバル企業として国際的な制裁措置に準拠する観点から」見直しを行ったという。一方、ウクライナ事業はアフィリエイト契約先企業の約500名が担ってきたが、こちらは既に事業を停止しており、家族の移送や他地域での就業機会などを提供している。他にも義援金(約1.4億円)の寄付や、避難民救済の支援活動にも協力している。

インターパブリックは14日、ロシアでの事業を停止したと発表。フィリップ・クラコフスキーCEOの社内宛てメモによると、当初はロシアの従業員200名への支援を維持しようと考えていたが、攻撃が拡大し、戦闘がしばらく続く可能性があることから決断したという。15日にはピュブリシスがロシアからの撤退を停止し、同国の従業員約1,200名に影響が及ぶことになる。

ハヴァスは今回の侵攻の直前まで、ロシアのエージェンシーへの投資を検討し、交渉を重ねていたが、「今ロシアに投資をできるわけがないので」キャンセルしたと、ヤニック・ボロレCEOはCampaignに語った。親会社であるヴィヴェンディはロシアで事業運営をしておらず、従業員もいないという。

 

博報堂、ESG経営支援サービスを本格開始

博報堂の全社横断プロジェクト「博報堂SDGsプロジェクト」は、クライアント企業のESG経営を支援する新サービス「ESGトランスフォーメーション」の提供を開始する。クライアント企業がESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の根幹に据え、事業を変革する際の支援を行うもので、情報開示から、国内外の投資家・メディアとの関係構築、統合コミュニケーション戦略の設計・展開まで、レベルに応じたサポートを行う。

 

MSLジャパンのMDに秋澤知子氏が就任

ピュブリシス・グループ・ジャパンのビジネスディレクター、ならびにMSLジャパンのマネージングディレクターに秋澤知子氏が就任する。今後はギャレス・ムルリアン氏(ピュブリシス・グループ・ジャパンのCEO)、マーガレット・キー氏(MSLグループのアジア・中東・アフリカ担当CEO)の直属となる。秋澤氏はMSLジャパンに参画する前は約10年間エデルマン・ジャパンに在籍するなど、コミュニケーション関連業務で20年以上の経験がある。

 

HSBC、ザ・サンドボックス内の仮想土地を購入

HSBC(香港上海銀行)が、仮想空間(メタバース)上のNFTゲーム「ザ・サンドボックス(The Sandbox)」内に仮想土地を購入した。Web3などの最新テクノロジーを活用して、スポーツ、eスポーツ、ゲームの愛好家との関係を構築することが目的だ。これまでもアディダスサウス・チャイナ・モーニング・ポストなどが仮想土地を購入しているが、銀行が購入したのは今回が初めて。

HSBCのアジア太平洋担当CMO、スレシュ・バラジ氏は「新興のプラットフォームを通じた新しい体験を生み出すことに、大きな可能性を見出しています」とコメント。「ザ・サンドボックスとのパートナーシップによって我々はメタバースに進出し、イノベーティブなブランド体験を現在の顧客、そして未来の顧客に提供していきます」。

 

子どもの絵とそっくりな保護犬をAIがマッチング

ペット用品ブランド「ペディグリー」は米国で、子どもが描いた絵と保護犬をマッチングするキャンペーン「レスキュー・ドゥードルズ(Rescue Doodles)」を4月末まで実施中だ。絵を送信するとAIがスキャンし、その絵と似た里親募集中の保護犬を近所から探して紹介してくれる。企画・制作はBBDOとAdopt-a-Pet.com。


(文:田崎亮子)

 

提供:
Campaign Japan

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