Ryoko Tasaki
2022年7月15日

世界マーケティング短信:成長続く世界の広告費、ウーバーの内部資料流出

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:成長続く世界の広告費、ウーバーの内部資料流出

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

世界の広告費成長率、2年連続となる予測

電通グループは13日、「世界の広告費成長率予測(2022~2024)」を発表した。この予測は世界58市場から収集したデータをもとに年2回実施しているもので、今回からはロシア市場の数値を除外している。期待インフレ率が世界的に上昇し個人消費が減少したことを反映し、前回予測(1月)から0.4ポイントの下方修正となったが、コロナ禍からの回復基調や広告出稿需要の増加などから8.7%の成長を見込む。これは2年連続の増加で、2023年(+5.4%)ならびに2024年(+5.1%)も成長は続く見通しだ。

すべての地域でプラスの成長率という予測で、インド、米国、ブラジルで高い成長となりそうだ。媒体別では、デジタル広告費の割合が世界の総広告費の55.5%に達する見込みで、動画広告(+23.4%)、ソーシャルメディア広告(+21.9%)、検索連動型広告(+12.9%)が成長を牽引する。日本はデジタル広告が+12.5%だが、それ以外の媒体がマイナス成長を見込んでおり、全体では0.8%成長と予測している。

ウーバー、かつての非倫理的な行為が内部資料で明らかに

配車サービス大手のウーバー(Uber)の2013~2017年の内部文書「ウーバーファイル」を英ガーディアン紙が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に提供した。リークしたのは同社でチーフロビイストを務めたマーク・マクガン氏で、資料点数は約124,000点を超える。急速に事業を拡大していた当時、物議を醸す手法を用いていたことが明らかになった。

たとえば2016年1月にフランスでタクシー運転手2,100名超が大規模な抗議活動を展開し、ウーバーの運転手が暴力を受けたことを心配した幹部に対して、当時のCEOで共同創業者のトラビス・カラニック氏は「暴力が成功を保証する」と述べ、暴力を受けたことを利用して支持を集めようとした。また、捜査当局が捜査に立ち入った際にネットワークを遮断し捜査を妨害する「キルスイッチ」を開発し、少なくとも12回使用したことも明らかになっている。

ICIJの調査を受けてウーバーは10日に声明を発表し、2017年に経営陣を一新したことや、現在の従業員の9割がそれ以降に入社していることなどを説明した。マーケティング&広報担当シニアバイスプレジデントのジル・ヘーゼルベイカー氏は、過去の経営陣の行動について「明らかに現在の価値観には合わないもので、この件に関する言い訳はしない」と述べ、過去5年間の行動や今後数年間の行動によって判断してもらうよう、世間に呼びかけた。

消費者が知りたいのは、購入者のリアルな感想

消費者は、インフルエンサーよりももっと親近感のある、本物の顧客のコンテンツを望んでいる――。UGC(ユーザー生成コンテンツ)マーケティングのSaaSを提供するエントライブ(EnTribe)が米国で実施した調査で明らかになった。

消費者の85%が、インフルエンサーに信頼や共感を抱いていない。そして、実際に購入したことのある顧客のコンテンツを望む消費者も、85%だった。また77%が、本物の顧客の声によって購入可能性が高まると回答。多くの企業が、膨大なフォロワーを擁するマクロインフルエンサーから、フォロワー数はそれほど多くないが絶大な影響力を持つマイクロインフルエンサーの起用へと軸足を移す中で、実際の顧客の声を活かすことが購入促進に最も効果的であることを、この調査は示唆している。

ディズニーとアマゾン、Unified ID 2.0と契約

ディズニーとアマゾンは、ポストCookie時代を見越したソリューションとして、トレードデスクが開発した「ユニファイドID 2.0(Unified ID 2.0)」との契約を締結した。ユニファイドID 2.0はトレードデスクが開発した、メールアドレスをベースとするオープンソースのID技術。広告主のファーストパーティデータを活用し、関連性のある広告を配信しながら、消費者側が自身のプライバシーを詳細に管理できるようになる。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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