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大会と距離を置くスポンサー企業
トヨタ自動車が先日、東京2020関連のテレビCMを放送しないことを明らかにした。引き続き車両提供などを通じて大会を応援するが、開催への賛否が分かれる大会と距離を置き、豊田章男社長など関係者の開会式出席も見送ると報じられた。
またサッカーの試合会場がある茨城県鹿嶋市では、小学校1校が観戦する児童の保護者に、会場に持ち込むボトル飲料はできるだけスポンサーであるコカ・コーラ社のものを選ぶよう求める文書を配布したことも明らかになった。市教育委員会が学校向けに開催した説明会では、他社製品も持ち込めるがラベルを剥がすよう指導していたという。市には抗議が寄せられ、スポンサーへの配慮がかえってイメージダウンへとつながってしまった。
20日には経済3団体(経団連、日本商工会議所、経済同友会)のトップが開会式を欠席することも明らかに。またNHKがスポンサー企業78社を対象に取材を実施(19~21日)したところ、回答した55社のうち37社が、関係者は出席しないと答えた。
パラリンピアンの日常を描く「スーパーヒューマン」、今大会でも公開
ロンドン2012大会、リオ2016大会でも話題となったチャンネル4(英テレビ局)のパラリンピックCM「スーパーヒューマン」シリーズが、今年も公開された。障害者を“超人”と定義し、トレーニングに励む様子や日常生活を映し出す。このCMシリーズは、2012年のパラリンピックの放送権を獲得した同局が、大会の知名度を上げるために開始したもので、チケット完売に貢献した。
出産を経て復帰したジョーダン・ワイリー選手(テニス)、呻きながら義足を装着するジョディー・カンディー選手(サイクリング)、男子選手に囲まれながら準備するカイリー・グライムス選手(ラグビー)などが登場する。悪夢にうなされるカディーナ・コックス選手(陸上、自転車)や、メダルを首からかけたもう一人の自分と向き合うエリー・シモンズ選手(水泳)は、過去の栄光というプレッシャーとも戦う。他にも、音声解説付きの動画も用意されている。
ユーチューブ、信頼できる健康関連情報を見つけやすく
ユーチューブは、信頼できる情報源による健康関連情報かどうかを表示する新機能を、今週から米国で展開する。当面は、特定の医療機関や政府機関の情報を認定するが、「他の情報源の評価方法や、グローバルに広げる方法を模索していく」とガース・グラハム医師(ユーチューブのヘルスケア&公衆衛生パートナーシップ責任者)が公式ブログで明らかにした。
この機能導入の動機付けとなったのは、COVID-19関連のさまざまな情報が飛び交ったことだと同氏は語る。“メッセンジャーRNA”“流行曲線の平坦化”といった専門用語を日常的に耳にするようになり、「公衆衛生の複雑な情報を、いかに理解しやすい方法で提供するか」と考え、今回の取り組みにつながったという。
赤ちゃんを失った悲しみに寄り添う
流産は妊娠の15~20%、死産は50人に1人の割合で起きるといわれ、授かった命を失うことは決して珍しくない。辛い気持ちを抱えたまま誰にも言えずにいる母親や父親に支援の手を差し伸べるキャンペーンを、カナダのサニーブルック病院のPAIL(妊娠・乳児喪失)ネットワークが開始した。制作はNo Fixed Address。
動画には「赤ちゃんの初めての笑顔や、小さな指が私の指を握っているような写真はありません」というナレーションと共に、空っぽのベビーベッドや写真立てが映し出される。「だからもし私が静かだったり、よそよそしい態度だったり、上の空だったとしたら、それは心にぽっかりと穴があいたような喪失感と向き合っているのです」と続く。
このキャンペーンで目指すのは、タブーとして扱われがちな妊娠・育児喪失について会話のきっかけを作り、支援を求めやすくすることにある。キャンペーンには、赤ちゃん関連の広告をブロックするブラウザ拡張機能も含まれる。ベビーグッズなどの検索履歴をもとに表示されるターゲット広告が、赤ちゃんを失った人を長く苦しめることは問題になっていた。
【お知らせ】
9月14~16日の三日間、オンラインにて開催するMarketing Works 2021のお申し込みを受け付けております。くわしくはこちら(英語)。
(文:田崎亮子)