※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
カンヌ参加を見直す大手広告会社
カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルの開催が10月に延期になったことは先日お伝えしたが、広告大手グループの中には、今年の参加を見合わせるところもあるようだ。同アワードには例年1万人以上が参加している。
WPPは今週火曜日、「交通費や宿泊費、アワードの費用のような自由裁量費を削減する」と株主に向けて発表した。オムニコムも参加取りやめを決めたらしいと、ある情報筋は語る。(両社ともコメントは控えている)
電通イージス・ネットワークはCampaignに対し、社員をカンヌに送り込む予定については明言しなかったものの、「我々の優先事項は、社員の生活を守り、クライアントと協力しながらこの困難な時期を乗り越え、苦しんでいるコミュニティーを支援すること」とコメント。カンヌについては、広告の品質向上に貢献する賞の意義は重要ではあるものの、今直面している現実とバランスをとる必要があると述べ、「すぐれた作品や、才能あふれる人材が認知される大切なプラットフォームに、世界中からアクセスできるバーチャルショーケースを提唱したい」と語った。
インターパブリックグループに近い情報筋によると、同社は傘下のエージェンシーに対し、当面の間はカンヌにリソースを割り当てないよう指示したとされる。こちらも同社からのコメントは得られていない。ピュブリシスとハヴァスは、まだカンヌについて意思決定をしていないようだ。
消費者が期待を寄せるのは、政府よりもブランド?
パンデミック時のブランドの動き方が、収束後の購買行動にも影響を及ぼす――このように回答した人が65%に上ることが、エデルマンの調査「トラストバロメーター」特別版で明らかになった。既に購買行動を変えたという人は、37%に及ぶという。
世界各地で政治への信頼感が欠如 する中、この危機的状況を乗り越える上でブランドが重要な役割を果たすことは不可欠と回答したのは62%、企業は政府よりも迅速かつ効果的に対応していると考える人は55%に上る。ブランドには積極的な情報発信を求める声も多いものの、ユーモラスすぎる、あるいは気楽すぎるトーンの広告やマーケティング活動はやめてほしい(57%)、現実逃避な広告表現は避けるべき(42%)との声も無視できない。トーン&マナーには慎重になるべきだろう。
エデルマンは2週間前にもコロナウイルス流行による雇用主と従業員の信頼関係や、情報の信頼性についてのレポートを発表しており、今回はその続編にあたる。同調査は12カ国(ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、南アフリカ、韓国、イギリス、アメリカ)を対象に3月下旬に行われ、各市場1,000人が回答した。
ミレニアル世代もブランドのメッセージに期待
新型コロナウイルスの危機打開においてブランドに期待する傾向は、ミレニアル世代も同様のようだ。ベルリン・キャメロン社がパークシー社とともに米国内で、21~35歳を対象に実施した調査によると、このような状況下でブランドに通常よりも多いコミュニケーションを望むと回答したのは36%。また半数近くは、新型肺炎について婉曲的な表現、あるいはまったく言及しないのではなく、何らかのメッセージを伝えるべきと考えているという。一方で、この現状について悲観的にとらえている回答者は75%にも上る。
ADKで人事異動と機構改革
ADKクリエイティブ・ワンの取締役を務める渡辺俊氏(ADKホールディングス 執行役員と兼務)が執行役員を退任した。
またADKマーケティング・ソリューションズのDDM戦略デザインセンター 戦略デザインユニットが第1戦略デザインユニットに名称を改め、第2戦略デザインユニットを新設。アドテクセンターはアドテク本部に改称。アドテクセンターのプラットフォーム&アドプロダクトユニットと、広告運用ユニットは廃止された。
(文:田崎亮子)