ウェーブメーカーは今後、クライアントが拒否しないかぎり、グループエムのCO2排出量計算機能とインクルーシブプランニングを、すべてのメディアプランニングに適用する。同社によれば、これは業界初の試みだという。
住宅金融のネーションワイド、小売のモリソンズ、メディア企業のバイアコムなど、100社以上のクライアントを抱える同社は、クライアントが拒否しないかぎり、CO2の削減と包摂性の観点からメディアプランを最適化していく。
この取り組みの目的は、クライアントにオーディエンスの多様性に関するインサイトを提供し、CO2排出量の削減も支援することだ。
グループエムの排出量計算機能は、系列エージェンシーのメディアコムやマインドシェアでも利用されている。クライアントにどのチャネル(どの媒体)が最もCO2排出量が多いかという情報を提供し、クライアントに広告のカーボンフットプリントを削減する方法を提案するものであり、広告業界全体のカーボンフットプリントを減らす取り組みの一環だ。
ウェーブメーカーのインクルーシブプランニングのコンセプトは、後づけではなく、計画段階から多様なオーディエンスへのリーチを確保することを目指している。
「世界が、目まぐるしく、危機から危機へと突入していくように思えるこの時代においては、近視眼的思考に陥り、重要性よりも緊急性が優先されるのも無理はない」と、ウェーブメーカーの英国チーフエグゼクティブであるケリー・パーカー氏は言う。
「このような前向きな取り組みを実務に取り入れることは、単にモラル上の義務を果たすというだけでなく、結果を伴うものだ。インクルーシブプランニングを採用したクライアントや、CO2削減の環境効率モデルに投資したクライアントは、売り上げを減らすことなく大きな収益をあげていることを我々は知っている。こうした取り組みが業界標準となることで、クライアントが自らの責務を果たしやすくなることを願っている」(パーカー氏)
パーカー氏が成功例として挙げたクライアントの一つが、ネーションワイドだ。同社は以前、サッカー界の人種差別の撲滅に取り組むキャンペーンで注目を集めた。
ネーションワイドのメディア担当責任者であるクリス・ラッド氏は、「環境への影響を最小限に抑えるために、広告活動を最適化することは極めて重要だ」と語る。
また、ラッド氏は「インクルーシブプランニングの先駆者として、ウェーブメーカーと協力し、プランニングのプロセスを強化して、多様なオーディエンスとのコミュニケーションに多額の予算を投じてきたことを誇りに思っている」という。
さらに、同氏は語る。「こうしたオーディエンスがもたらすビジネスチャンスは巨大だ。結果として我々の業績は大幅に向上した。しかし何より重要なことは、いまや包摂性は、広告戦略の単なるオプションではなく、その根幹に組み込まれているということだ。ウェーブメーカーが業界をリードし、他社にも追随するよう促しているのは喜ばしいことだ」