* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
炎上しかねないPRのピンチを、消費者とのエンゲージメント構築の絶好のチャンスに変えるには、新たなアプローチを試みるとよい。
これが昨年、食品大手の味の素がとったアプローチだった。
1909年に創業した同社は、うま味調味料「味の素」の製造方法を発明し、売り出したことで広く人気を博した。うま味調味料以外にも事業を拡大し、現在はさまざまな調味料やソース、加工食品、アミノ酸関連事業などを展開している。
今日、味の素グループは冷凍食品市場において高いシェアを誇り、餃子など便利な商品の数々を提供している。油や水を使わなくてもフライパンに貼り付つかないとして売られる冷凍餃子は、日本だけでなく世界でも発売以来熱烈に支持されるヒット商品だ。
しかし、ある消費者がX(旧ツイッター)に、油を使わず水だけで餃子を焼いたところ、フライパンにこびりついたと嘆く投稿をしたことから、使用するフライパンの種類と調理への影響を理解するため、大規模な調査へと発展した。重視したのは、製品への期待に応えた食品の改善に留まらず、製品を調理するという料理体験全体を改善するにはどうすればよいのか、という点である。
味の素がとったのは古来の企業防衛策ではなく、同様の現象が起きてしまった消費者から研究用にフライパンを送ってもらうという、型破りなアプローチだった。そして温度や冷凍状態、調理時間などを分析するだけでなく、焼き上がりの再現性を高める方法を検証するという。
この透明性のあるアプローチを消費者が気に入り、反響は予想を上回るものとなった。突如として始まった呼びかけに対し、3500個を超えるフライパンが届いたのだ。
味の素冷凍食品で戦略コミュニケーション部PRグループ長を務める勝村敬太氏が、このユニークな取り組みの戦略的背景を明らかにした。問題から目をそらさずに受け止め、潜在的な炎上リスクを協働的な取り組みに変えた結果、消費者は単なる買い手から共創者へと変化し、餃子の調理方法を追求するための洞察やヒントを提供してくれるようになった。
「お客さまに『あなたの調理方法の問題であり、私たちのせいではない』と伝えて、問題を製品から切り離し、守りに入ることもできたでしょう。しかし私たちはもっと前向きなアプローチをとりました」と勝村氏はCampaignの取材に答えた。
「どのような状態のフライパンに貼り付いたのか知りたい、そのため研究用にフライパンを送ってほしいと返信しました。事実を直視し、取り繕うことなく消費者にしっかり向き合うという行動が、オーディエンスからの共感と驚きにつながったのです」。
この反響を受けて、同社の顧客理解が微妙に変化した。PRファームの本田事務所と協力し、消費者の習慣の複雑さを掘り下げたところ、顧客をより深く理解する必要性を認識した。本田事務所のCEOである本田哲也氏が強調するのは、企業からの従来型の発信から、人間味が感じられる親近感のあるナラティブへの転換だ。
「ブランドは、広告で消費者を狙い撃つのではなく、消費者が共有できるナラティブを作ることに焦点を当てるべきです。このアプローチは、普段は隠されている企業活動の側面が、消費者の声をきっかけに明らかになるものでもあります。私たちは、共創の構造を確立することを目指しています」と本田氏は説明する。
「企業活動を消費者に分かりやすく提示することで、仲間意識や一体感を醸成できたと思います。企業が行う細やかな取り組みを知ることで、嬉しい驚きを感じる消費者は多い。このアプローチをすべての活動に適用するのは難しいかもしれませんが、今回の取り組みは消費者が共感しやすく、理解しやすいテーマだったと考えています」。
味の素では、消費者の視点に立ったPR型の情報発信の方が、広告よりも共感を得られやすいと考えていると勝村氏は言う。広告の活用は、コミットメントを伝える一つの方法だ。
「大切なのは行動そのものであり、実際の取り組みによって企業の価値を伝えることができる。ブランドは、こうしたナラティブを含んだコンテキストを、ペイドメディアに活用することもできます」と勝村氏は語る。
このアプローチが功を奏したのは当然だろう。最近は、より透明性の高いブランディングを求める声が、業界からも消費者からも高まっている。ソーシャルメディアも含めて情報過多な現代の社会では、苦情のようなメッセージにも真摯に対応することがますます不可欠になっている。
「すべての消費者の声に対応することは難しいかもしれませんが、寄せられた意見や懸念に対して、しっかりと誠実な行動をとることが重要です」と勝村氏。
「そうした誠実なコミュニケーションは自ずと広まり、その結果を世間が判断する。テクノロジーに関して言えば、ブランドは高度なソーシャルリスニングやAIといったツールの恩恵を受けることが、間もなくできるようになります」。
味の素が消費者の声に前向きに対応したのは、今回の件が初めてではない。1997年には、油なしで餃子を焼けるということをアピールした商品を発売した。
また2013年には、「水の量が分かりにくい」「計量が面倒」といった消費者の声に応え、油や水を加えずにフライパンの中で蒸すように調理できるよう進化させた。最近では、「火加減の説明が分かりにくい」という声に対応し、火加減のイラストを写真に変更した。
「今回の件を振り返り、今後も時代のニーズに応える姿勢を改めて打ち出していきたい。そしてコミュニケーションを通じて、ロイヤリティへとつなげていきたいと考えています」と勝村氏は語る。
「100パーセント完璧にデザインされたデジタルキャンペーンが消費者の興味を引くとは限らないということを、ブランドは認識すべきです。消費者が見たいのは予測不可能なこと、そしてその課題に対してブランドがどのように行動し、ナラティブの一部としてどのように関わっていくかです」。
「この活動は、必ずしも『もっと買ってください』というメッセージを含んでいません。直接購買に反映させるのではなく、企業ブランドとしてのエンゲージメントに反映させたいと考えています」。
今回の味の素の事例は、消費者の台所で起きた不具合や、調理の共創という表層的なナラティブを超越し、ブランドのレジリエンス(回復力)という概念を明確に示すものとなった。同社のオープンな姿勢と真摯な取り組みは、ブランドが潜在的なリスクに直面したときにどのように対応できるか、あるいはどのように対応すべきかを示す、一種のベンチマークとなる。このナラティブは、単に餃子の調理方法を改良するということに留まらない。真正性、親近感、消費者との積極的なエンゲージメント構築が不可欠な、現代のブランディングを象徴している。