広告主が動物の画像や動画を広告に使用するたびに少額を寄付することで、動物保護活動を支援したらどうか。これが、持続可能な動物保護活動を支援するライオンズシェア基金のコンセプトだ。同基金は2月22日、アジア地域での動物保護の機運を盛り上げるべく、オンラインセッション「Spikes Asia X Campaign」でそう呼びかけた。
2018年に設立されたライオンズシェア基金は、広告主に対し、俳優や楽曲、ロケ地に出演料や使用料を支払うのと同様、広告に動物の画像や映像を使用するたびに一定額(メディア支出の0.5%)を寄付するよう求めている。
共同設立者のクリストファー・ネリウス(Christopher Nelius)氏はこう説明する。「私は映画監督で、広告も制作している。広告では、誰もが知っているように、CMに登場する俳優には出演料を、楽曲やロケ地には使用料を支払う。今こそ、動物にも同じことをすべきだ」
ネリウス氏は、世界の広告の約20%に動物が登場していると主張する。なぜならそれが「製品の売上を伸ばすのに驚くほど効果的で、実証済みかつ確実な手法」だからだと述べた。
Spikes Asia X Campaignのセッションを視聴する
「動物は、消費者と心を通わせ、製品を購入してもらうための優れた方法だ」とネリウス氏は指摘する。「動物は愛らしく描写することが可能で、それにより人の心を温め、世の中は万事順調といった気分にできる。動物は高級感や野性的イメージ、性別、勇気、純真、ぬくもりなどを象徴することができ、特定の場所に誘うことさえ可能だ」
だが一方で、動物は絶滅の脅威にさらされており、民間部門やブランドは「次世代のために(この世界を)守る上で一層大きな責任を負っている」とネリウス氏は語る。
「結局それが、消費者が求めていることでもある」と同氏は付け加えた。
ネリウス氏は、保護活動資金として毎年1億ドル(約107億円)を調達するという目標が達成できるよう、より多くのブランドがライオンズシェア基金へ参加することを奨励したいと考えている。
この基金は、国連開発計画の全面的な支援を受けて設立され、その後、マース インコーポレイテッド(Mars Incorporated)、ジェーシードゥコー(JCDecaux)、グッチ、ニールセン、カルティエ、ラコステ、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)など35を超えるブランドと契約を締結した。
これまで同基金が資金を提供した活動には、熱帯雨林再生、スマトラ島レウセル国立公園での女性向けパークレンジャープログラム、モザンビークのニアサ保護区におけるゾウ密猟の撲滅支援があり、2019年のオーストラリアにおける山火事に際しては野生動物を支援する緊急資金提供プログラムなどを実施した。
「個々のブランドの寄付額は多くないかもしれない。しかしそれが、世界中で増えていけば、基金で地球の未来をより明るいものにできる。(中略)だからこそ私は、すべてのブランドに我々の取り組みへの参加を望む。ブランドは、彼らが大切だと考える消費者や従業員に向けて、自分たちは地球の生物多様性を支え、この危機を解決する一翼を担っているのだということをぜひ示してほしい」とネリウス氏は締めくくった。