Ryoko Tasaki
2023年2月10日

世界マーケティング短信:会話型AIの競争が本格化

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:会話型AIの競争が本格化

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

チャットGPTに対抗し、グーグルも会話型AIを一部公開

オープンAI(OpenAI)が昨年11月に「チャットGPT(ChatGPT)」を公開し、大きな話題となっていた。そしてオープンAIに2019年から巨額を出資してきたマイクロソフトが、このたび自社の検索エンジン「Bing」やブラウザ「Edge」に、オープンAIの大規模言語モデルやマイクロソフトのプロメテウス(Prometheus)モデルを組み込むことを発表した。

チャットGPTに対抗するように、グーグルのスンダー・ピチャイCEOは6日、実験的なAI(人工知能)会話型サービス「バード(Bard)」を一部のユーザーでテストした後に一般公開するとブログで発表。AIをめぐる競争が本格化しそうだ。

4四半期の広告事業 グーグルは苦戦、アマゾンは着実に成長

成長を続けていたグーグルの広告事業が、第4四半期に減少に転じたことが決算報告で明らかになった。ユーチューブ広告は79.6億米ドル(前年同期比8%減)、グーグルが他のサイトに表示する広告は84.7億米ドル(同9%減)、売上の大部分を占める検索広告等は比較的好調ではあるものの426.0億米ドル(同2%減)で、広告事業全体では590.4億米ドル(同4%減)。広告事業は同社の売上高の78%を占めており、親会社であるアルファベット社の純利益は前年同期比33.9%減の136.2億米ドルという結果になった。

一方でアマゾンは、広告事業の売上高が115.5億米ドル(同19%増)と大きく伸びた。同社の売上全体に占める広告事業の割合はまだ小さく、その大部分はEコマース事業に関連したものだが、サブスクリプションサービスは91.9億米ドル(同13%増)を上回り、着実に成長を続けている。主力事業であるオンラインストアの売上高は645.3億米ドル(同2%減)だった。

東京五輪の入札談合事件で電通元幹部ら4人逮捕

東京五輪2020大会の入札をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は4人を逮捕し、家宅捜索を行った。逮捕されたのは森泰夫氏(大会運営局元次長)、逸見晃治氏(電通元スポーツ局長補)、鎌田義次氏(セレスポ専務)、藤野昌彦氏(フジクリエイティブコーポレーション専務)。テスト大会の計画立案業務56件のうち26件で談合が行われ、電通など9社と1共同事業体が総額約5.3億円で落札した。

2月1日には、大会組織員会元理事の高橋治之氏に賄賂を提供したとしてAOKIホールディングス側の第2回公判が開かれた。検察側は元会長の青木拡憲氏に懲役2年6カ月、元副会長の青木宝久氏に懲役1年6カ月、元専務執行役員の上田雄久氏に懲役1年を求刑。判決は4月21日に言い渡される。

大気汚染物質から鉛筆を作成 

大気汚染が深刻なインド第3の都市・ベンガルールの学校にきれいな空気を提供するプロジェクトを、GSKの点鼻薬ブランド「オトリビン(Otrivin)」が実施している。世界保健機構(WHO)によると世界の子どもの93%、特にインドの子どもの98%が、汚染された空気を吸って暮らしているという。

そこでベンガルールで最も空気の質が悪い3つの学校で、22台の空気清浄機を教室に設置し、汚染物質の74%を除去した。そして、この物質とグラファイトを鉛筆に加工し、対象校の児童に配布した他、活動の資金調達と認知度向上のために一般にも販売された。企画はワンダーマン トンプソン。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

4 日前

世界マーケティング短信:オムニコムがインターパブリックを買収

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2024年12月11日

広告のインクルーシビティー、その現在地

テック企業「XRエクストリームリーチ」がAIを活用し、100カ国以上の約100万本の広告表現を分析した。広告のインクルーシビティー(包括性)は、今どのような状況なのか。

2024年12月11日

エデルマンが人員削減 岐路に立つPR業界

PR業界が転換期を迎えている。CEOや経営陣の上級顧問のような存在になろうという目標を達成したが、今ではこの増大した責任を果たすことが求められており、厳しい決断を迫られている。

2024年12月06日

世界マーケティング短信:世界の広告費成長率、2025年は+5.9%と予測

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。