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五輪談合で電通や博報堂など6社と7名を起訴
東京五輪2020大会をめぐる入札談合事件で、公正取引委員会は電通グループ、博報堂、東急エージェンシーなど計6社と、大会組織委員会の元次長ら計7名を独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で告発し、東京地検特捜部が起訴した。談合の規模は総額437億円に上る。
電通は2月28日に、関連子会社の従業員1名(事案発生の2018年当時は電通に所属)が起訴されたこと、そして電通グループが法人として起訴されたことを声明で発表。役員による報酬返上や、外部有識者による調査検証委員会を設置したことも併せて発表した。
博報堂も2月28日の声明で、同社ならびに博報堂DYメディアパートナーズ社員1名が起訴されたことを発表。東急エージェンシーも同日、同社ならびに元役員1名が起訴された旨を声明で発表している。
「インフレがマーケティングへの投資を後押し」 WPPリードCEO
パンデミック前の5年間にわたり経営が悪化したWPPだったが、2022年の収益は前年比6.9%増と好調だ。インフレが続く中でクライアントはマーケティングへの投資を積極的に行っていると、マーク・リードCEOはCampaignに語る。特に消費財企業などが支出を増やしており、その理由は「リテールメディア、ティックトック、ネットフリックスなど広告の機会が増えており、さまざまな方法で顧客にリーチできないかと考えている」ことだと述べる。「これらはもっと複雑なため、より多くの投資と複雑なマーケティングが求められています」。
インフレの影響について同氏は「クライアントの多くは販売量が2%減り、価格が7%上昇し、収益が5%伸びている」、そしてこのような状況では予算削減はされないだろうと見込んでいるという。また「2023年はクライアントがエージェンシーに、よりシンプルなソリューション、つまり統合的なソリューションを求めるようになる」との見解で、傘下企業の強みを生かした組織再編を継続していく考えだ。
サタリア(Satalia)を2年前に買収するなど同社ではAIに注力し、メディア事業や効率の良いクリエイティブ制作など広範囲で活用している。だがAI導入によって今後、人員が削減されるかについては「まだ何とも言えない」と同氏。「クリエイティブの過程において補助や刺激として活用されることはあっても、クリエイティビティーの重要性は決して無くならないと考えています」。
「広告業界はAIを過小評価している」 マーティン・ソレル卿
Campaignがロンドンで22日に行われた「TV広告サミット」にマーティン・ソレル卿(S4キャピタル設立者)が登壇し、広告業界はAIを過小評価していると危機感を表した。「人工知能や汎用人工知能は、大きな影響を与えるでしょう」と同氏。「そして広告業界はクリエイティブ面だけでなく、メディア事業に与える影響についても、過小評価していると思います」。AIはリソースの最適な配置を効率よく判断する上で役立つ他、広告主がプラットフォームでのメディアプランを直接担えるようになることが広告会社の脅威であると指摘した。
同氏はまた、テレビ広告のフリークエンシーキャップ(CMへの接触頻度の制御)の不十分さを課題として挙げた。大手3社のマーケティング担当責任者とのやりとりの中で、彼らがこの問題に非常に大きな懸念をいだいていることが分かったという。「同じCMが不必要に繰り返され、それが消費者と広告主をうんざりさせているのです」。
日本の総広告費、過去最高の7兆円超え 電通調べ
電通が先日発表した「2022年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は通年で7兆1,021億円(前年比104.4%)となり、1947年に推定を開始して以降、過去最高となった。マスコミ四媒体は2兆3,985億円(同97.7%)、インターネット広告費は3兆912億円(同114.3%)、プロモーションメディア広告費は1兆6,124億円(同98.3%)。マスコミ四媒体の中で、増加したのはラジオ広告(1,129億円、前年比102.1%)のみだった。
インターネット広告費は2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円増加したことになる。その一部である「マスコミ四媒体由来のデジタル広告」は1,211億円(同114.1%)で、中でもテレビメディアデジタル(358億円、前年比140.9%)やラジオデジタル(22億円、前年比157.1%)が高い伸びを示した。
(文:田崎亮子)