昨年の広告で、職場で働く現代的女性を描いたものはわずか7% −− ブランドは広告へのアプローチを再考せねばならぬようだ。
国際女性デーに因み、クリエイティブデータプラットフォーム「クリエイティブX」は昨年公開された1万本以上の広告(使われた広告費は計1億ドル以上)を分析。その結果、家庭の中で描かれる女性像は66%で、2021年の32%から倍増した。
過去2年間で広告に登場する女性は増え、男性よりも34%多かった。にもかかわらず、職場で活躍する女性像はむしろ減っている。
そうした女性像を描いた広告はわずか7%で、費やされた広告支出全体の4.7%。2021年は16%を占めていたが、3分の1以下に減少した。
これは、職場で働く男性像を描く広告支出に比べると35%少ない。家庭の中の女性を描く広告支出は44%だった。
広告支出の傾向
また、肌の色が「白い」女性を描いた広告への支出は、そうでない女性のそれと比べ2021年から242%も増加した。
今回の調査では、人の肌の色を6段階に分類した「フィッツパトリック・スケール」を採用。非白人(浅黒い肌、または有色人種)の女性はほとんど取り上げられず、こうした広告への支出が極めて少ないことがわかった。
非白人女性がフィーチャーされる広告の割合は白人女性のそれに比べて80%低く、職場で働く姿も58%、広告支出も30%低かった。
2021年と昨年を比較すると、非白人女性をフィーチャーした広告への支出は20%減。年齢別にみると、肌の色に関係なく、60歳以上の女性が登場する広告はわずか0.6%だった。それに対する広告支出は2021年の2.2倍だったが、それでも全体の1%以下。職場で活躍する白人男性を描いた広告への支出は、2021年に比べて106%増加した。
進まぬ変革
クリエイティブXの創業者でCEOのアナスタシア・レング氏は、「今の女性は歴史的な時代を生きている」と話す。「米国副大統領に女性が就任し、女性がリーダーを務める国は世界で27カ国ある。『フォーチュン500』では、女性がCEOを務める企業が初めて10%を超えました。にもかかわらず、広告ではまだ適切な表現がなされていない」
「広告業界は平等なコンテンツ作りに対して前向きです。しかし、目に見える変革はなかなか進まない。我々マーケターが音頭を取ってそれを推進していかねばなりません。その過程で重要なのがクリエイティブデータ。データは広告のキャスティングやストーリーテリングの正しい方向性を示すことができる。今の社会、またそのあるべき姿を映し出すコンテンツ制作に役立つのです」
(文:サラ・デニス 翻訳・編集:水野龍哉)
提供:Performance Marketing World