CMOの挑戦:アジア太平洋地域(APAC)のマーケティングリーダーに9つの質問をし、その思考や個性に光を当てる。 |
* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
楽天の河野奈保CMOは、これまでCampaign Asia-Pacificの「パワーリスト」に4回選出されている。楽天では20年以上勤務、ガラスの天井を打ち砕いてきただけでなく、国内外における楽天のプレゼンスを刷新する数々の変革を主導した。
同氏のリーダーシップの下、楽天はデジタル領域で確固たる地位を築き、月間アクティブユーザー数は国内だけでも4,100万人超を数える。成長の原動力は、代表的ロイヤリティプログラム「楽天ポイント」だ。
同氏の目指す成長は、単なる数字の追求にとどまらない。「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」や「インターナルマーケティングコミュニティ」といったアイデアを推進、楽天のエコシステムにイノベーションとコラボレーションの文化を育んでいる。その影響力は企業的成功の枠を超え、持続可能性やインクルーシビティ(包括性)なども牽引。グリーンな未来を呼びかける「Go Green Together(GGT)」、ダイバーシティを支援する「Walk Together with Pride」といったイニシアチブにも注力する。
このインタビューでは生成AIツールとの協働、持続可能性へのコミットメント、そして自身が描く業界のカルチャー変革などについて言及。言葉の端々には目的意識と先見性があふれ、現代のCMOとしてあるべき姿を体現する。協調性とユーザー重視の姿勢も特筆すべき点だろう。
マーケティングの意義が急速に再定義される今、その信念は揺るぎない。同氏にとっての挑戦は、未知の世界におけるナビゲートではなく、未知の世界を心から受け入れることなのだ。
河野奈保 楽天グループ 副社長執行役員、CMO
1. あなた自身について、他の人が知らないような一面を教えてください。
限られた時間でできるだけ多くの情報を吸収できるよう、ユーチューブの再生速度を1.75倍速に設定しています。オンラインコンテンツを見るときも、効率の最大化にこだわっています(笑)。ニュースなど様々なコンテンツを高速再生で見ています。
2. 生成AIの利点を将来的なマーケティング戦略に取り組んでいますか? 生成AIに関する経営戦略を教えてください。
楽天は豊富なデータと最先端の生成AIを組み合わせることで、想像以上のマーケティングの可能性を切り開いてきました。弊社は戦略的AIパートナーであるOpenAIと協働し、国内外の消費者や企業に魅力ある最先端のAI体験を提供しています。70を超える多様なサービスポートフォリオから得られる独自の高品質データを保有しているので、生成AI活用の可能性は計り知れません。
楽天は昨今のAIブーム以前から、クリエイティブ制作やデータ分析、オフラインイベント運営などでAIの可能性を模索してきました。例えば弊社最大のビジネスカンファレンス「Rakuten Optimism2023」では、イベント運営にAIをシームレスに統合。字幕やリアルタイムでの翻訳、BGMなどをAIが担当し、3日間のカンファレンスで多くの参加者を魅了しました。またコミュニケーションアプリ「Viber(バイバー)」や楽天証券といったサービスでは、消費者のエクスペリエンスをレベルアップするために、すでにAIを導入しています。
3. 公約であるサステナビリティー事業で、代表的なものを1つ挙げてください。
2022年に楽天グループとしてカーボンニュートラル目標を設定し、GGT
プロジェクトを始めました。
グリーン化は1つの企業だけでなく、コミュニティー全体の取り組みであるべきで、お客様に持続可能な選択肢を提供することが社会全体の成功に必須だと考えます。GGTはユーザーが慣れ親しんでいるサービスやタッチポイントを通じ、環境問題や持続可能なライフスタイルに関する話題を喚起することが目的。環境に配慮した生活へのアドバイスだけでなく、持続可能な行動に対して楽天ポイントが付与されるキャンペーンをいろいろ実施しています。すでに100万人以上がこのプロジェクトに参加し、サイトを通じて420万円を超える寄付金が集まりました。
4. 他ブランドと異なる楽天のカルチャーは何でしょう?
楽天ブランドの中核にあるのはエンパワーメントです。このビジョンを具現化する力がテクノロジー。楽天市場の5万7,000に及ぶ加盟店がより多くの顧客を獲得できるようサポートすることも、タッチ決済を通じて日本のキャッシュレス革命を促進することも我々にとってはエンパワーメントです。そのミッションを実現するために技術イノベーションを活用しています。
日本の法外な携帯電話料金はかつて世界最悪の水準で、国民の財布を圧迫していました。経済成長を促すためには、テクノロジーの力を使って人々の消費習慣を変える必要がある。そう認識した楽天モバイルは、世界初の商業用オープンRANモバイルネットワークを日本で立ち上げました。これによって全国的な携帯料金の引き下げに火が付き、人々の可処分所得が増え、楽天が目標とする "モバイル業界の民主化 "に貢献しました。テクノロジーによって垣根を取り払うことで、楽天のカルチャーは真価を発揮するのです。
5. 業界のワークカルチャーは、どう変わらなければいけないでしょう?
ワークカルチャーを本当に変えるためには、全ての部署の社員が参加し、変革を進めるという使命感を持つことが大切です。推進室や特定の部署だけに責任を負わせるやり方では、会社は前に進まない。例えばAIの導入に関して、弊社はAI推進チームだけの業務にせず、全社で取り組んでいます。
弊社では全ての社員が、各自の役割において楽天AIを使う権限が与えられている。同様に、インクルーシブな方針は言語へのアプローチにも反映されています。国や組織の垣根を越えたコミュニケーションを促進するため、弊社の社内公用語は英語です。それは特定の役職に限定していません。全ての社員が役職や役割に関係なく、語学力を高められるよう採用したのです。この大胆な方針が功を奏し、弊社では100以上の国と地域から社員を迎え入れ、外国人の比率は全社員の21%超です。こうしたコラボレーションの精神で1つにまとまれば、ビジネスのあらゆる側面が加速度的に進歩すると考えています。
⒍ 今日のCMOに欠かせない要素は何でしょう?
今のCMOは、ダイナミックな「翻訳能力」と先進的な洞察力を兼ね備えた存在でなければなりません。「翻訳者」としては、組織のリーダーシップと顧客の間を取り持つ役割を果たさなければならない。これは企業の戦略やアイデアを、消費者に響く言語やエクスペリエンス、感情に変換することを含みます。
同時にCMOは過去の数字を認識し、データからインサイトを抽出してユーザーの将来のニーズを予測できなければならない。そのためには先見性だけでなく、明確で説得力ある将来的なビジョンを描く能力が求められます。今日のCMOの役割はイノベーションと翻訳、そしてビジョンを絶え間なく追求していく姿勢にあると思います。
7. ご自身はどのようなCMOですか? 3つ以内の形容詞でお答えください。
私は協調性がある、ユーザー重視のCMOを目指しています。大切なのは同僚たちと温もりのある関係を築き、全員がベストを尽くせるよう鼓舞すること。大局的戦略と現場の細かい動向の双方に目を配り、バランスの取れた視点を保つことを心がけています。
マーケティングにおける我々の仕事は、ユーザーのニーズを理解し、会社の長期的目標を常に認識しつつ、ユーザーを丁重に導いていくことです。このバランスを実現するには、ユーザー中心のアプローチと、戦略への大局的視点の双方が必要です。
8. あなたが制作したキャンペーンで気に入っているものは何ですか? あるいは、それ以外で気に入っているものは?
ダヴ(Dove)の「 Real Beauty Sketches」キャンペーンはいつも心に響きます。このショートムービーは顧客との感情的つながりを育んでいるだけでなく、女性たちに力強いメッセージを伝え、自己の美しさは社会の基準に左右さないことを強調しています。
女性を対象とした広告がまだ「美の多様性」を認識していなかった当時、このメッセージは新鮮で、変化の必要性を訴えました。ポジティブな自尊心を促し、美に対する認識を再構築する上で極めて重要なステップになったと思います。
9. CMOとしての悩みはありますか?
刻々と変わるマーケティングの世界をナビゲートしていくことは、CMOである私にとってユニークかつエキサイティングな挑戦です。過去にとらわれず、常に未来図を描くことに注力せねばなりません。
テクノロジーや消費者の価値観、そして環境は常に変化します。過去の経験やデータは単なる参考に過ぎません。絶え間ない変化の一歩先を進んでいく −− 楽天のCMOとして、毎朝起きたときに自覚するコミットメントです。