ファーストリテイリングのプレジデント オブ グローバル クリエイティブ、ジョン・ジェイ氏は、今年初めに「キャンペーン」の取材に応じ、優先度の高い案件として米国市場での認知度と理解度の向上を挙げた。ユニクロのものづくりを改めて伝える今回のキャンペーンは、ジェイ氏の掲げる優先事項に向けて一歩踏み出したということなのだろう。
ユニクロの発表によると、このキャンペーンではブランドや商品を紹介する動画などによって、「品質、機能性、スタイルを徹底的に追求する」ユニクロの姿勢を打ち出していく。制作を担当したのは米国ニューヨークのクリエイティブエージェンシー、Droga5だ。
ユニクロはLifeWearを「普遍的なデザインと快適さで、あらゆる人の生活をより豊かに変えていく、革新的で高品質な服」と位置付けている。ユニクロはこのキャンペーンを通して、「人はなぜ服を着るのか?」と問いかけ、人々が服との向き合い方を考えるよう促している。
グローバルブランドへの進化を目指す一方、このキャンペーンのビジュアルは日本の都会を舞台にしており、ユニクロが日本発であることが強調されている。ジェイ氏は発表の中で「日本からグローバルブランドとしてのメッセージを発信することで、ユニクロの原点、ユニクロとは何者かを表しています」と述べている。
「核になっているのは、人々の生活における服の意味合いを追求する、ユニクロの果てしない好奇心」とジェイ氏。このキャンペーンは日本で始まり、次いで世界の主要市場に展開される予定だ。ジェイ氏がファーストリテイリングに参画した直後に手掛けた、ブランドブック「The LifeWear Book」やニューヨーク・タイムズなどの紙面上での大々的な広告により、海外市場で一定の素地は既にできている。
Campaignの視点:
大衆向け衣料品では異例ともいえるこの理詰めのアプローチを、冷ややかに見る向きもあるだろう。しかし製品のシンプルさを強調し、人々になぜその服を着るのか、そもそも服を着る目的は何なのかを問いかけることで、ともすれば「安かろう悪かろう」に陥りがちな業界の中で、ユニクロは気の利いた高品質のブランドとして他と一線を画している。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)
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