APACの若者は他地域の若者よりも希望を持っているが、感染拡大防止のため皆が十分に努力しているとは考えていない −− 若者向けデジタルメディア「VICE」による調査でこのような結果が出た。
VICEは3月20日から29日にかけ、世界の若者を対象としたオンライン調査を実施。新型コロナのパンデミックによる生活への影響や不安、終息後の世界の展望などを尋ねた(調査結果はこちらから)。
APACで調査対象となったのは豪州、インド、日本、韓国、そしてインドネシアやフィリピン、シンガポールといった東南アジアの国々で、16歳から44歳までの男女2979人。
アジアは新型コロナの影響を最初に受けた地域であり、国家も他に先駆けて対応を始めた。中国の一部で見られるように、社会も少しずつながら平常に戻りつつある。こうした実情が影響してか、調査からはAPACの方が他地域よりも希望を抱いている若者がやや多いことが分かった(『新型コロナ発生以前と比べ、今の気持ちをどう表現するか』との問いに対し、『希望』と答えた者が世界全体で36%だったのに対し、APACは43%)。
APACで最も多く挙げられたのは「不安」と「他者への共感」で、少なかったのは「平穏」「幸福感」だった。
また、最も憂慮していることに「家族や友人の感染」を挙げた者は3分の2(66%)。「自分への感染」と答えた者は約半数(52%)にとどまり、「経済への影響」とほぼ同数だった。
「感染拡大を防ぐために、自分たちはできることをすべて実行している」と答えた者はAPACの大多数(85%)。だが残念なことに、「他の人々もできることをしている」と答えた者は3分の1以下(30%)だった。これは他地域の1.2倍に相当する。
パンデミックの最中、「家でどのように時間を使うか」という問いに対し、世界で最も多かった答えは「家族や友人と過ごす」。APACの若者も同様で、62%がトップに挙げた。次に多かったのは「ソーシャルメディア」で45%、「家計のやり繰り」が43%だった。
この危機を乗り切るための最も重要な要素としてAPACの若者が挙げたのが、「ユーモア」(64%)。「最新ニュースのチェック」「日常の知恵や学び」を凌いだ。
一方、「この時期にどのようなコンテンツが必要か」との問いに対しては、3分の2以上(68%)が「新型コロナを克服した人たちのパーソナルなストーリー」と回答。この結果は「今の気持ち」で「他者への共感」が2番目に高かったことと合致する。次に多かったのは、「励みや刺激になるユーモラスなストーリー」(49%)。さらに「家計のマネジメント」(46%)、「家でのエンターテインメント」(44%)と続いた。
新型コロナの長期的影響に関しては、意見が二分。「良い影響」「悪い影響」を挙げた者がそれぞれ半数ずつだった。「社会にどのような変化を及ぼすか」という問いに対しては、「経済活動のあり方」「コミュニティーとの関わり方」「人々の関係性」「働き方」などが上位に挙げられた。
新型コロナに関する信頼できる情報源として最も多く挙げられたのは、米国疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)といった公的機関(89%)。次いで従来型メディア(81%)、病院や医療従事者(77%)、新興あるいは独立系メディア(72%)と続いた。
(文:ジェシカ・グッドフェロー 翻訳・編集:水野龍哉)