この数年の広告業界で最も話題をさらったのが、デジタル革新であることは言うまでもない。来年のカンヌライオンズではこの流れに合わせ、クリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門が新設される。
「広告業界の実情を反映するよう、我々は引き続き賞の内容を充実させていきます。新設するクリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門では、ビジネス変革を実現したクリエイティビティーの評価を行います」。賞の責任者を務めるスージー・ウォーカー氏はこのような声明を発表した。
「コンサルティングやエクスペリエンスデザイン、クリエイティブイノベーション、テクノロジー、そしてデジタル変革などを担うインハウスやエージェンシーのチームからの応募作品を期待しています。今やブランドは、カスタマーエクスペリエンスなしでは成り立たない。世界の様々な地域の様々な分野で、有意義なカスタマーエクスペリエンスの創出がますます重視されています」。
クリエイティブ・ビジネス・イノベーション賞の新設に加え、2020年のコンテンツテーマも発表された。「クリエイティビティーこそビジネス成長のエンジン」「コマースにおけるクリエイティブ革命」「ポスト・パーパス(“目的”の後に来るもの)」「ブランドの説明責任と積極的行動」「ブランドこそ我がエクスペリエンス」「2030年を見据えて」「未来にフィットさせるビジネス」「クリエイティビティーの応用」「データとテック、アイデアの衝突」「大きなスケールでのストーリーテリング」「ブランドに回帰しよう」などなどだ。
カンヌライオンズは1500人に及ぶ顧客から得たインサイトと、企業のCEOやCMO、CCO(チーフ・カスタマー・オフィサー)、ストラテジストなどとの徹底的な面接調査に基づいてこれらのテーマを選出した。
また、PR部門も審査基準を刷新。コミュニケーション業界の現状とPRの専門家が直面する課題をより反映するよう見直された。
(文:リンゼイ・スタイン 翻訳・編集:水野龍哉)