Ryoko Tasaki
2020年3月20日

世界マーケティング短信:コロナショックに揺れる市場

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

妻(キーラ・セジウィック、女優)の名前とハッシュタグを書いたボードを掲げるケヴィン・ベーコン
妻(キーラ・セジウィック、女優)の名前とハッシュタグを書いたボードを掲げるケヴィン・ベーコン

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

俳優の顔の広さを活かした、自宅隔離プロモーション

俳優のケヴィン・ベーコンが、自宅待機を呼びかける動画キャンペーンに登場した。欧米では現在、新型コロナウイルス対策として自宅待機を実施中だ。このキャンペーンは「#IStayHomeFor」というハッシュタグと、守りたい大切な人の名前と共に写真・動画を撮ってソーシャルメディアに投稿し、さらには6人の知人にも同じことをするよう促すというもの。Campaignが入手した社内メモによると、動画制作にはマッキャンが協力しているようだ。

ケヴィン・ベーコンの起用は、同氏が数多くの俳優を共演してきたことに注目して1990年代に開発されたゲーム「ケヴィン・ベーコンの6次の隔たり」を意識したもの。ケヴィンが共演した俳優を1次、その1次の人物と共演した俳優を2次とすると、ほとんどの俳優は6次以内に収まるといわれている。

広告界、新型コロナウイルス関連のレイオフを懸念

フィッシュボウルが米国のさまざまな業種業態で働く17,000人を対象に実施した調査によると、新型コロナウイルスの影響で勤め先企業がレイオフ(一時解雇)を行うと考える人が最も多かったのは広告界(65%)、それに続くのがコンサルティング業(58%)であった。最も少なかったのは、法律関連の業種(32%)。レイオフを最も懸念している米国の都市は、サンフランシスコ、ニューヨーク、アトランタであった。

「コロナウイルス」での広告ブロックに見直しを

ダブルベリファイ(DoubleVerify)のマット・マクラフリンCOOはブログで、コロナウイルスを報じる報道への広告出稿をむやみにブロックしないよう呼びかけた。ニューヨークタイムズが報じたところによると、インテグラル・アド・サイエンス(ダブルベリファイの競合)は広告主からの要請で、2月に「コロナウイルス」というキーワードを3840万回ブロックし、これは「トランプ」に次ぐ2番目の多さだったとか。

だがマクラフリン氏は、「信頼できるニュースサイトに出稿するブランドを消費者は高く評価している」というベライゾンメディアの調査結果を引き合いに出しながら、「基本的に、ニュースとなっている事象とブランドとの間に直接的なつながりがない限り、信頼できるニュースサイト全体にできるだけ広く広告を掲載することを薦めます」とコメント。信頼できるパブリッシャーの貴重な収入源が、過剰な広告ブロックによって脅かされていることを懸念し、キーワードのブロックリストの見直しを広告主に求めた。一方のインテグラル・アド・サイエンスも、パンデミック関連の記事に広告を載せることの影響を調査しており、まもなく公開予定だという。

電通PR 社長が交代

電通パブリックリレーションズの社長が、3月17日付で交代した。代表取締役社長執行役員に就任するのは、牧口征弘氏。同氏は1990年に電通に入社後、マーケティング局やIMCプランニングセンター、経営企画局、広報局などを経て、今年1月から電通パブリックリレーションズに出向し、常務執行役員を務める。

AnyMind、インド企業を買収

AnyMind Groupが、インドで動画広告プラットフォームを展開するPOKKTを買収した。2012年に創業したPOKKTは、自社プラットフォームを通じてアプリ内動画広告やリッチメディア広告を提供しており、月間5億人以上のアクティブユーザーを抱える。今回の買収によって、インド(ムンバイ、デリー、バンガロール)とアラブ首長国連邦(ドバイ)がAnyMindの拠点に加わることとなった。POKKT創業者でありCEOのロヒット・シャーマ氏はCOOに、COO兼共同創業者であるヴァイダヴ・オデカー氏はインド・中東およびPOKKT事業を統括するマネージングディレクターに就任する。AnyMind GroupのCOOである小堤音彦氏はCCOとなり、マーケティングテクノロジー事業を牽引していく。

AnyMindは昨年、Moindy、AnyUp、Anystyle.Tokyoと3社のM&Aを実施。今年に入ってからも1月にGROVEを子会社化し、今月初めにはフィットネスアパレルブランド「Lyft」との資本業務提携も発表するなど、積極的な企業買収を展開中だ。

「牡蠣」の漢字ドリルがWARCランキング2

広島県の特産品である牡蠣をアピールする観光プロモーション『広島 牡蠣とり帳(かきとりちょう)』が、WARC Effective 100ランキングで2位に選ばれた。企画制作はI&S BBDOグループ(I&S BBDO/BBDO J WEST)、KOO-KO、コトノハ。

広島県は牡蠣の生産量全国1位だが、県民の99%が牡蠣という漢字を書けないという。このドリルには、すべての例文に「牡蠣」という単語が含まれており、漢字の書き方を97回練習できる。例文からは、牡蠣にまつわる豆知識を学ぶことができる。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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