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クリエイターに支持されたブランドらしくない 批判続々
アップル(Apple)が新型iPad Proのプロモーション動画「Crush!」を発表したところ、批判の声がソーシャルメディアに数多く投稿された。動画は巨大なプレス機が楽器やゲーム機、パソコン、画材などを押しつぶし、機械が上がるとiPad Proが登場。すべての機能がこの薄型の端末に集約されるという内容だった。
クリエイティブな人々が大切にしてきた道具へのリスペクトが感じられない、破壊されていく様子を見ていて悲しくなる、この動画をアップルが発表したことに驚いた…といった意見が動画公開後に続々と投稿された。物に魂が宿るという考え方が根付く日本で人々の感情を逆撫でしたようだが、海外でも物議を醸しており、ヒュー・グラント(俳優)は「人類の経験を破壊。シリコンバレーより」と皮肉たっぷりにコメントしている。
マーケティングやPRの専門家も次々と批判を投稿した。ロストラ(Rostra)のCEOを務めるルル・チェン・メザーヴィー氏は「戦略を考慮せずにエッジーになろうとしたときに起こりがち」と、自身のXに投稿。アップルはインスピレーションを与えるはずのブランドであることや、テック企業によって仕事や興味のあるものが排除されることを多くの人々が恐れているという背景を挙げ、もっと明るく希望に満ちた、創造性や繁栄を扱った表現の方が賢明だったのではと述べた。また芸術が迫害された中国の文化大革命を彷彿とさせるとも指摘する。
アクシリオン(Axxilion)の創業者兼CEOであるリリアナ・ペルテナヴァ氏は「不快で不安を感じさせるイメージ」とリンクトイン(LinkedIn)に書き込んだ。そしてジョージ・オーウェルの小説を題材にした伝説的なCM「1984」でスクリーンを破壊し、テクノロジーが人々を抑圧するディストピアからの解放を描いたのとは真逆のメッセージだと批判した。
メタ、広告主向けの生成AIツールを発表
メタ(Meta)は広告主に向けて、生成AIを広告制作に利用できるツールを発表した。広告主がアップロードした画像をもとに、AIが複数のバリエーションを生成できるもので、アスペクト比に応じた調整や、さまざまなフォントで文字を画像に重ねるテキストオーバーレイ機能も備える。今後数カ月以内にはテキストのプロンプトによって詳細な指示を与えられるようになる予定。
また、広告の見出しや主要なキャッチフレーズなども生成できるようになる。今後は同社の大規模言語モデル「Llama 3」を用いて、テキスト生成の精度を高めていくと、収益化担当バイスプレジデントのジョン・ヘゲマン氏は語った。
ロブロックス、没入型の動画広告を全広告主が利用可能に
ゲーム開発会社のロブロックス(Roblox)は、すべての広告主に没入型の動画広告を開放し、13歳以上のユーザーにリーチできるようになると発表した。3Dコンテンツをカスタムメイドせずとも、既存の動画を活用できる。昨年11月から試験的に導入し、e.l.f.ビューティー(e.l.f. Beauty)やヒューゴボス(Hugo Boss)などが利用した。セルフサービスツール「Ads Manager」で使え、4月に提携したパブマティック(PubMatic)を通じての利用も近々可能になる。
また、同社はインテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)ならびにカンター(Kantar)と提携し、測定ソリューションを提供していくことも発表した。
同社のグローバル・ブランド・パートナーシップ担当バイスプレジデントであるステファニー・レイサム氏は「ロブロックスに広告を出稿することで、ブランドは深いつながりを生み出し、何千万人ものZ世代ユーザーを取り込むことができます。彼らは最も消費額の高い層で、毎日何百万時間もロブロックスを利用し、没入感のある体験を求めています」とコメント。デジタルに精通し、2Dメディアではリーチが難しくなっている層に向けた動画広告を、どのブランドも簡単に利用できると説明した。
児童虐待の音はあなたの周りに 気付いたら通報を
映画館では作品の上映前に、音響システムを手掛けるドルビー(Dolby)のトレーラー映像が流れる。これを彷彿とさせる動画を制作して劇場で公開し、児童虐待の通報を呼び掛けたのが、子ども支援活動を行う国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」の香港支部だ。
同団体によると、家庭内暴力は2023年に29%も増加。そこでこの問題への意識を高め、周りで暴力が疑われる音を聞いた際には通報を促すキャンペーンを展開した。企画・制作はチェイル香港(Cheil Hong Kong)。おもちゃが壊れる音や棒で殴打する音など、効果音の作成にはドルビーのサラウンドシステム「アトモス7.1」の音響技術者が携わった。
(文:田崎亮子)