Rahat Kapur
4 日前

多くのセレブが、高級ブランドのクリエイティブを率いるようになった理由

レイバンが エイサップ・ロッキーを、初のグローバル・クリエイティブ・ディレクターに任命。文化的な関連性を再定義し、競争が激化する市場において商業的な成功を獲得しようと、高級ブランドがセレブリティーのビジョンに頼る傾向が高まっている。

レイバンの初代グローバル・クリエイティブ・ディレクターに就任した人気ラッパー、エイサップ・ロッキー
レイバンの初代グローバル・クリエイティブ・ディレクターに就任した人気ラッパー、エイサップ・ロッキー

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

世界的なサングラスブランドのレイバン(Ray-Ban)が、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky、本名はラキム・アセラストン・メイヤーズ)を初のグローバル・クリエイティブ・ディレクターに任命した。最近では多くの高級ブランドが著名な文化人を、従来のセレブリティー・アンバサダーの枠を超えたクリエイティブ職のリーダーとして起用するようになってきている。

1936年に設立し、現在は仏エシロールルックスオティカ(EssilorLuxottica)傘下であるレイバンは、アビエーターやウェイファーラーなどアイコニックなスタイルでその地位を確立してきた。これまでにスクーデリア・フェラーリ(Scuderia Ferrar)などのデザイナーや、ペギー・グーといったアーティストとの限定コレクションを発表してきたが、歴史的にクリエイティブディレクションは社内で行い、伝統的なデザインに重点を置いて、時折モダンにアップデートを加えてきた。同社がこのレベルのクリエイティブディレクターを外部から迎え入れたのは、今回が初めてのことだ。

レイバンのブランドプレジデントを務めるレオナルド・マリア・デル・ヴェッキオ氏は声明で「レイバンはアイウェア業界を超えた存在。単なるブランドではなく、ライフスタイルそのものです」と述べた。新しい役職に就いたエイサップ・ロッキーはクリエイティブプラットフォーム「レイバン・スタジオ(Ray-Ban Studios)」やマーケティングキャンペーンのディレクション、店舗のリデザインを手掛け、2025年4月には初のコレクションとなる「Blacked Out Collection」を発表する予定だ。

今回の任命は、伝統的な訓練を受けたデザイナーから社会への浸透力と影響力を持つ文化的なトレンドセッターへと移行する、業界関係者が「高級ファッションのクリエイティブ・リーダーシップ・モデルの地殻変動」と呼ぶ動きの一環だ。

この流れの転機となったのが、2023年2月にファレル・ウィリアムスがルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のメンズ・クリエイティブ・ディレクターに就任したことだ。デザインの正式なトレーニングを受けていないミュージシャンが、高級ブランドの最も権威あるクリエイティブ職のトップに就いたのである。 その後、カニエ・ウェストがアディダス(Adidas)と提携し、画期的な(しかし最終的には波乱に満ちる展開となった)イージー(Yeezy)を発表。2022年にはハリー・スタイルズが、グッチ(Gucci)と「HA HA HA」コレクションを発表している。

ファレル・ウィリアムス(写真:ルイ・ヴィトン)

ウィリアムスの就任後にヴィトンのデジタルエンゲージメントと視聴者数が増加したように、この戦略はブランドビジネスにとって有益であるように見える。だが、正式なデザインの教育と見習い期間を経てキャリアを築いてきた従来のクリエイティブディレクターにとっては、存在意義を問われる問題だ。しかし、PR効果と文化的価値が目的であるならば、セレブリティーの活用は戦略といえるだろう。

「トラヴィス・スコット、ファレル・ウィリアムス、ペギー・グー、ジードラゴン、リアーナといった多彩なクリエイターがブランドを率いる立場に就任すると、確かにある程度の名声が上がります」と、シンガポール版『ヴォーグ』編集長のデスモンド・リム氏は語る。「これらのセレブリティーは生まれながらに持ったスタイルで、既にクリエイティビティーの頂点に立ち、影響力のあるスタイリストやクリエイティブディレクター、ファッションデザイナーに常に囲まれています。そのため彼らは、建築家がグラフィックデザインを再解釈するのと同じように、独自の視点でデザインをとらえます。これが、自らを改革しようとしているブランドに、新鮮で文化に精通した視点を与えるのです」。

アジア市場も、以前からこの領域を模索してきた。ファン・ビンビンとトッズ(Tod's)、ジードラゴンとシャネル(Chanel)の関係には正式なクリエイティブディレクターという肩書こそ無いものの、セレブリティーが従来のアンバサダーの枠を超えてブランドの方向性を形作れることを示した。村上隆とルイ・ヴィトンのコラボレーションも、初期の成功例となった。

「エイサップ・ロッキーのようなクリエイティブディレクターを起用することで、ブランドは単にトレンドを追随する以上のことが可能になります。それは、ブランドが文化的なムーブメントや現代の流行、若い多様なオーディエンスの視点を理解し、重視していることを示します」と、アリソン・ワールドワイド(Allison Worldwide)でアジア太平洋地域のCOO兼顧客体験責任者を務めるジェレミー・ソウ氏は説く。

「エイサップ・ロッキーの独自の強みは、音楽のジャンルを超越する能力と、ストリートファッションと高級ブランドを結びつけた過去の成功。彼の信頼性と影響力を活用することで、レイバンはサービスの提供を目指すコミュニティーとの関連性を保ち、進化し続けることができます。この戦略は文化的な結びつきを超えて商業的な影響力を発揮し、利益率やエンゲージメント率の高い顧客セグメントを取り込む上で役立ちます。このセグメントは、アイデンティティーや価値観を反映するブランドを支持する可能性が高くなります」。

高級ファッションの業界でクリエイティブディレクターの入れ替わりが盛んな中、ブランドがこのようなアプローチを取るのは驚くことではない。ここ数年で、大物が何人か去った。ピエールパオロ・ピッチョーリは2024年3月に25年間在籍したヴァレンティノ(Valentino)を退任。グッチを去ったアレッサンドロ・ミケーレは、同ブランドの方向性に影響を与え続けている。また、ジョナサン・アンダーソンは2025年1月に、11年間在籍したロエベ(Loewe)から退いた。こうした退任劇に明確な説明が伴うことはほとんどなく、ディレクターがブランドを渡り歩くこともある。だがファッション業界関係者は、真のクリエイティブビジョンを維持することと商業的な成功を収めることの間には絶え間ない葛藤があることを、ますます認識している。

2020年にカニエ・ウェストのイージーが17億米ドルの年間売上を上げたように、セレブリティーの影響力を活用することで大きな商業的成功を収めることができるが、このアプローチにリスクが無いわけではない。セレブリティーとのパートナーシップの目新しさが薄れ、ブランド価値の低下につながる可能性があるのだ、例えばアディダスは物議を醸すウェストの行動を理由に、2022年にパートナーシップを解消し、2023年のイージーの余剰在庫の売上高は5億6,500万米ドルに。長期的なブランド戦略における初期のバイラル効果を超えた、成功の持続性が疑問視された。 

アディダスのスニーカー「イージー ブースト 350 V2 SPLY-350」(写真:Shutterstock)

マリーナ・マシューズ・コミュニケーションズ(Marina Mathews Communications)の創設者兼マネージングディレクターであるマリーナ・マシューズ氏は、次のように警告する。「セレブリティーのクリエイティブディレクターへの任命は、特にブランドとの相性が良い場合には賢明なPR戦略となり得ます。しかし、それが単なるギミックや縁故主義だと感じられないようにするには、セレブリティーが真剣に関わり、真の専門性を発揮することが重要です。PRの価値を測定するには、感情、ソーシャルメディアのエンゲージメント、販売への影響を追跡すること、つまりパートナーシップが具体的なビジネス成果にどのようにつながるかを追跡することが必要です」。

エイサップ・ロッキーのクリエイティブディレクションから、消費者は何を期待できるのか。「Blacked Out Collection」はレイバンのクラシックなシルエットと彼の特徴的な美学を融合し、ストリートウェアの感性と高級な仕上げを組み合わせたものになるだろうと業界専門家は予測している。同氏のファッション業界での実績や、ハイファッションとストリートカルチャーの境界線を押し広げてきた評判を考慮すると、予想外の素材や大胆な色使い、同氏の音楽や文化的な影響を反映したデザイン要素となるかもしれない。こうしたクリエイティブの取り組みが最終的な成功につながるかどうかは未知数だ。

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