AKQA東京オフィスは、クラウディア・クリストヴァオ氏の後任のクリエイティブディレクターにフェリペ・ガリアーノ氏を任命した。ブラジル人であるガリアーノ氏の前職は、サピエント・レーザーフィッシュ(SapientRazorfish)ベルリン事務所の共同クリエイティブディレクター。アウディやヒューゴボスなどのクリエイティブに携わった。
AKQAのグループクリエイティブディレクターを3年半以上務めたクリストヴァオ氏は、グーグル・ブランドスタジオのアジア太平洋地域担当責任者に就任するため2月に退社した。
AKQA東京のバッソー陽一郎マネージングディレクターはクリエイティブの職責を見直し、今回2人のリーダーを指名。ガリアーノ氏がクリエイティブとデザインワーク、泉秀幸氏がテクノロジー面の指揮を執っていく。
これまで日本での勤務経験がないガリアーノ氏だが、2013年から15年まではAKQAアムステルダムでクリエイティブ兼アートディレクターを務め、マイアミ・アド・スクールでは教職にも。ベルリンのジュン・フォン・マット(Jung von Matt)、ドバイのTBWAではシニアアートディレクターも歴任している。
ガリアーノ氏は今後、ナイキやBMWミニ、アマゾン、アメリカン・エキスプレスといったクライアントの仕事に携わっていく。「東京のAKQAには素晴しいデザイナーがいるようですが、もっとアイデアを磨く必要があると思います。スタッフをオフィスの外に連れ出して、自由なブレインストーミングをすることが重要」。
「エージェンシーの多くはすぐにエグゼキューションに取り組もうとしますが、我々は1歩引いてアイデアを精査するべきです。『これが果たしてベストの方向性なのか』と考え、納得してから制作やデザインに取りかかる。それが私のやり方であり、ここでもそれを実行していきます」
日本のデザインについては「まだ勉強中」というが、両極端の傾向 −− 熱狂的でカラフルなものと、ミニマリズム的なもの −− が共存している印象を受けるという。ちなみに、インスタレーションで知られる瀬戸内海の直島には「非常にインスパイアされました」。
当初、日本のクライアントと協働するには「様々な面で適応が必要」と考えたが、英語でコミュニケーションをとったり他分野の企業と直接やり取りをしたりするAKQAのインターナショナルなアプローチは、「純粋な日本のエージェンシーよりもやりやすいと思います」。
「ドバイに住み、幅広い国々の人々と接したことで柔軟性が高められ、異なる視点から課題に取り組む能力が磨かれました」とも。同氏を起用した理由についてバッソー氏は、「AKQAが持つネットワーク文化と日本の文化、双方にフィットする人材を見つけることが課題だった」という。
「探していたのは、インターナショナルな思考を持ち、なおかつ日本の文化やデザインの潮流に柔軟に対応できるクリエイティブリーダー。この2つを併せ持つことは、言葉で表すほど簡単ではありません。それでもこうした(我が社の)1人ひとりの個性が、我々の企業文化を形成していますから」。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)