新しい年の始まりは、スポーツジムが新規会員を多く迎え入れ、人々がアルコール摂取を控え、知的財産の著作権が失効してアーティストやミーム作成者が思いのままに活動できるようになるなど、喜ばしい話題が多い。
1月1日にパブリックドメインとなった旧作品の中で、ソーシャルメディアユーザーの興味を最も引いたのは、1928年の『蒸気船ウィリー』に登場する初代版のミッキーマウスだった。
2024年現在、誰もがこのモノクロバージョンのミッキーマウスを用いたオリジナル作品を作ることができる。年が明けてわずか数日で、アーティストたちはすでにミッキーを題材にしたホラーゲームや動画、大ヒットしたNFTコレクションを制作している。
通常であればソーシャルメディア担当者は、バイラルな話題と共に1年のスタートを切れることを喜んだものだろう。しかし、法律で認められているにもかかわらず、ディズニーの逆鱗に触れることを恐れて及び腰になった。
「パブリックドメイン化したことに、ブランドが追いついていないのではないか」と、あるソーシャルメディア担当者は匿名を条件に語った。「私自身もソーシャルメディア担当として、この件を調査する時間が無かったことは分かります。私ならばディズニーには手を出さないでしょう」。
他のソーシャルメディア担当も、独自のテイストを加えたミッキーマウスを発表したブランドが少ないことにさほど驚いていない旨をリンクトイン(LinkedIn)に投稿しており、中には「ディズニー法務部とのトラブルは避けるべき!」とコメントした者も。
ソーシャルメディア、特にXではミッキーが9.11米国同時多発テロを引き起こしたり、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺を告白するといった不快な作品が話題となった一方で、労働者の権利を主張している作品もあった。
「ブランドがどのミームやトレンドに関与するかには、コンテンツが間違いなく一役買っています」と匿名のソーシャルメディア担当者は言う。「音声、ビジュアル、テキストに付随するコンテンツが下品で酷い内容だったりすると、アルゴリズムによって同様のコンテンツと一緒に表示される可能性が高くなります。見栄えが悪くなるだけなので、ブランドはそのようなコンテンツを添付したがりません」。
ソーシャルメディア上で特にディズニーが揶揄されるのは、同社が『蒸気船ウィリー』の著作権を40年も延長しようとしたことに起因しているのかもしれない。同社はまず1976年に著作権法を成立させるため議会を動かし、90年代にもさらなる延長を働きかけ、1998年に著作権保護期間延長法が成立した。
しかし、一部のブランドは『蒸気船ウィリー』の投稿を実施した。デュオリンゴ(Duolingo)の広報担当者によると、この機会に乗り遅れたブランドはソーシャルチームが今週から仕事に戻ったため、1月1日早々のトレンドに乗る準備ができていなかったのではないかとのことだ。
Now that Steamboat Willie is in the public domain and we can make him say whatever we want, pic.twitter.com/FE7Sx1lZjb
— Dictionary.com (@Dictionarycom) January 3, 2024