新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、メディアの価格がグローバルで変動したのは間違いない。ECI Media Managementがメディアの価格を予測した新しいレポートによると、世界全体で見て上昇が進んでいるメディアはデジタルディスプレイとデジタル動画だけだ。紙媒体は下降局面に直面しており、新聞と雑誌が最も深刻だとみられている。
下のグラフは、第3四半期における世界全体のメディア価格を表しており、テレビ、OOH(屋外メディア)、ラジオも打撃を受けている。
レポートによると、APAC(アジア太平洋地域)は、インターネットとテクノロジーの普及率の高さから、全般的にデジタルのポジションが上昇傾向にある。また、メディア価格が4.1%の穏やかな上昇になると予想されているAPACを除くと、他地域は下落が続く見込みだ。
APACはテレビの力が世界で最も強い地域だが、新型コロナウイルスの第2波によって、そのテレビが下降局面に入るおそれがある。データを見ると、日本の数字が大きく下落しており、日本の下落がAPAC全体におけるテレビのポジションを下げている。
東南アジア内の多くの市場では、4月よりはテレビの上昇傾向が弱まっているものの、上昇は続いており、この地域の回復力を示している。パンデミックの第1波と第2波のタイミングもあり、OOH市場はEMEA(欧州、中東及びアフリカ)よりもAPACが良好な結果となった。というのも、。EMEAのOOH市場は、夏とクリスマスという市場浸透を図る時期に、ロックダウンとそれに伴う価格低下があり、その影響が出た。
オーストラリアは、テレビネットワークが大幅な割引を提供しており、レポートによると、これが市場の安定に一役買っているという。また、いくつかの州ではロックダウンがまだ続いており、OOHが最も大きな影響を受けている。
新型コロナウイルスによる影響からの回復がかなり進んでいる中国は、全般的に上昇が続くとの予測だが、以前に予想されていたほどではない。
インドネシアは、テレビ、ラジオ、OOHの価格が下がり続けており、少し厳しい状況にある。
通常、価格の変動があまりない日本は、テレビが最も打撃を受けた。東京五輪/パラリンピックの延期が主な要因だ。
韓国は、早めのロックダウンがウイルスの封じ込めにつながり、第3四半期は大きな変化が見られなかった。レポートによると、テレビとラジオからデジタル動画への移行はあまり進んでいない。
最後にインドだが、予測に大きな変化はないが、テレビとデジタルメディアの下落は、以前の予想ほどではないだろう。