ADKクリエイティブ・ワンから、新たなクリエイティブブティック「FACT(ファクト)」が立ち上がった。多様化・多角化する広告業界の中であらゆるクリエイティブソリューションをもって課題を解決していくことを目指すという。
ADKクリエイティブ・ワンは、ADKホールディングス傘下の事業会社として、今年1月1日付で発足。FACTを立ち上げたADKクリエイティブ・ワンの三寺雅人氏は、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター/シティ・アクティベーターに就任する。
ブティックを構成するメンバーは三寺氏、松原康雄氏(クリエイティブディレクター/アートディレクター)、鈴木大輔氏(ストラテジック・プランニング・ディレクター/コミュニケーションプランナー)、堀田有利佳氏(PRディレクター/コミュニケーションプランナー)、澤邊浩祐氏(コピーライター/CMプランナー)、佐伯善虎氏(ビジネスディレクター/プロジェティスタ)の6名。(プロジェティスタとは、プロジェクトマネジャーのこと)
シティ・アクティベーターの役割についてCampaignが尋ねたところ、コミュニティー活性化に関する専門知識を持つ者のことを指すとADK広報担当は説明。(コミュニティー活性化は、三寺氏がビーコンコミュニケーションズやジオメトリーにいた頃から情熱をいだいてきたテーマである)
FACTのタグラインは「We create facts and activate people」(価値ある事実に光をあてて、人を動かす事象をつくる)。リリースによると、モノや情報が溢れる昨今は、広告主が商品やサービスについてどのように伝えるかに固執するだけでは、人々に振り向いてもらえなくなった。特に日本のテレビCMは、15秒という限られた枠の中で、商品に重きを置いた広告になりがちだ。このような状況下でブランドを支援するため、FACTは「まだ世の中に知られていない『価値ある事実』」を発掘し、「オリエン受注型から課題発見・提案型へ」というスタンスでクライアントと対話を重ねながら実践していくという。
FACTの主要クライアントについて、ADKは公表していない。だが同社のマニフェストを鑑みると、トップダウン型のアプローチを避けて、主流な広告とは一線を画した作品を創造するため、エージェンシーからのブリーフに多少なりとも異を唱える可能性がある。
声明によると、東京五輪(2020年)や大阪万博(2025年)などの大規模なイベントを控えていることや、SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりを受け、日本の企業はCSV(共有価値の創造)を重視するようになった。このことがFACTにとって、好機だととらえている。
企業やブランドはこれまで以上に「自分たちの存在価値をもとに、社会価値と経済価値を両立させるアイデアを考え、実践していくことが求められています」とADK。「それは『人を動かす価値ある事実』を見つける競争に突入したことに他なりません」
FACTは近々、都内のADK本社とは別にオフィスを構える予定で、現在はシェアオフィス「WeWork」にて業務を開始している。ADKからは昨年7月にもCHERRYが発足している。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)