博報堂DYホールディングスは25日、「データ・エクスチェンジ・プラットフォーム設立準備室」を設立したと発表した。企業や団体が所有するさまざまなデータを連携させ、「より広く安全に利活用されること」を目指す。
声明によると、企業間でのデータ連携は「あまり進んでいないのが現状」であり、その背景には「コンプライアンスへの万全な対応や配慮が求められる」ことが挙げられるという。
そこで同社は、個人データを非個人情報に加工した上で統合する「k-統計化&データーフュージョン」を開発し、特許を取得。これは、ある一定以上の人数で構成されたマイクロクラスタを生成し、個人を特定できないよう「非個人化」した後に、特徴が似たマイクロクラスタを統計的に結び付ける技術だ。
同部門のエグゼクティブマネージャーである米岡励氏はCampaignのメールでの問い合わせに対し、一社のデータのみでは「深い顧客理解と、生活者が求めているコミュニケーションにつながらないという課題がありました」と回答。
例えば、「子どもが生まれた」といった顧客の家族データの変化が、ドラッグストアのPOSデータから判別できたとする。このデータを自動車会社の顧客データと統合すれば、「子どもが生まれたら車を買うことを検討する」機会が創出された、と解釈することが可能なのだという。
「自動車会社の顧客データだけでは分からなかったチャンスを、発見することができます」と米岡氏。データは、データホルダーから拠出される時点で非個人データとなっているため、「法令違反のリスク無く、データを扱うことができる」とも。
同社は、データの安全な流通と利活用を目指し、産業技術総合研究所と協業。同所の「人工知能技術コンソーシアム」にも参画している。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)