David Blecken
2019年7月04日

明治、サントリー、花王が日本で高評価

「高品質」「責任」をうたう企業が躍進、「トップ1000ブランド」に若干の変動が生じた。

明治、サントリー、花王が日本で高評価

Campaign Asia-Pacificとニールセンが毎年共同で実施する「トップ1000ブランド」。アジアでは依然サムスンが首位を守ったが、日本ではトップのパナソニックの座を脅かすのは難しいようだ。国内で2位となったのはアップル。しかしパナソニックのマスへの訴求力と高度に多様化された商品ラインナップの前に、その名声もやや影を潜める。先進的な日本の消費市場でも、アップルはまだ誰もが知るブランドではないのだ。

3位となった食品メーカーの明治はソニーを凌いだ。長年高い人気を誇る明治だが、質の高い商品を生むという公約がランクアップに結びついたようだ。中でもヘルシーさをうたうチョコレートは消費者の大きな支持を集める。同社は昨年、この種の商品の生産設備を増強するため2億4500万米ドル(約2700億円)を投資。ちなみにライバルの森永は順位を1ポイント落として6位となった。

ソニーはやや順位を落としたが、特に目立った変化は見られない。国内市場での業績は好調で、前会長の平井一夫氏と現社長で前CFOの吉田憲一郎氏が具現化した業績回復は今も堅調に続く。


アジアでは2年続けてパナソニックが3位、ソニーが4位となった。トップ10に入った日本ブランドはこの2社のみだった。


同じく最近危機を乗り越えたシャープは、日本で順位をやや下げて8位。アジアでは1ポイント落として32位だった。


日本でトップ10に入った唯一の飲料メーカーはサントリー。キリン、アサヒと同様に幅広いアルコール飲料やソフトドリンクを製造する。国内では順位を2ポイント上げて5位、アジアでは25ポイント上げて111位だった。順位を上げた理由はさまざまだが、近年高い評価を受けているウイスキーが大きな影響を与えたことは間違いない(今は供給不足の状態)。高級品で国際的評価を得ることは、幅広い商品ラインナップを持つブランドにとって長期にわたる特典となる。競合他社との差別化要因になることも言うまでもない。


化粧品・美容ブランドの大手・花王も国内でトップ10入りを果たし、アジアでも73位に上昇した。この4月からは国連のSDGs(持続可能な開発目標)を重視した新たなポジショニング戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を展開。この指針がブランドの認知度を高めるか、今の時点で定かではないが、アジアの消費者は主要ブランドにサステナビリティ(持続可能性)への強い意識を求め、それに応じて商品を購入するようになりつつある。ブランドがサステナビリティを宣誓することは、その市場の衛生事情の向上につながるのだ。

一方で、資生堂は大胆かつ個性的なブランディングを続けているにもかかわらず、日本では順位を4ポイント落としてトップ10の圏外となった。アジアでも11位から58位に陥落。同社は海外での更なる成長を目指し、この4月横浜にグローバルイノベーションセンターを開設した。「国内外の消費者や取引先、研究機関とのより包括的な交流及びコラボレーションを推進していく」ことが狙いだ。

また、ユニクロが順位を下げたことも驚きの一つ。高い人気を誇るにもかかわらず、日本では34位から49位に、アジアでは38位から69位へと陥落した。

文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

 

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Campaign Japan

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