電通イージス・ネットワーク(DAN)が中国のEコマース専門エージェンシー「上海EBPインターネット・テクノロジー(以下、EBP)」を買収した。EBPは2012年に創業、上海と北京に80名のスタッフを持つ。
EBPは主要プラットフォーム上での総合的なEコマースサービスをブランドに提供。オンラインストアオペレーション、ユーザーエクスペリエンス、データサービスに加え、コンサルティングやGTM(Go-to-Market、市場開拓)戦略、キャンペーンなども担う。
EBPの創業者で現在のCEO、フランク・シュー氏は新会社「EBP・アン・アイプロスペクト・カンパニー(EBP, an iProspect Company)でも引き続きCEOに。アイプロスペクト・チャイナのトニー・チェンCEOの直属となる。EBPのスタッフは今月中にアイプロスペクトのオフィスに移り、新会社は総勢200名体制となる。
DANのパフォーマンスマーケティングエージェンシーであるアイプロスペクトは現在、バーバリーやナイキ、マイクロソフトといったブランドのコンバージョンを担う。
「Eコマース機能を高めることはDANチャイナの戦略の一環。EBPの獲得でそのスピードは速まるでしょう。世界最大のEコマース市場でショッピングサイトの取引サービスを提供できれば、アイプロスペクト・チャイナはプロダクトの最適化を実現できるのです」。こう話すのは、DANチャイナのミッシェル・ラウCEO。「この買収は多くの相乗効果を生み出し、我々の関係をより強化できる。各クライアントのポートフォリオにも新たなビジネスチャンスを生み出すことでしょう」。
EBPはこれまでもDANチャイナと密な協働を行ってきた。「DANは完璧なパートナー」と話すシュー氏。「我々はお互いを補完し合える。EBPは先進的なEコマース機能を大規模に具現化でき、アイプロスペクトは多様なクライアントを持っているからです」。
DAN APACエグゼクティブチェアマン兼電通シニアバイスプレジデントの日比野貴樹氏は、「世界最大のEコマース市場でクライアントにソリューションを提供することは我々にとって不可欠の要素」と話す。「この分野の機能を高めることは我々の中国戦略の一環であり、EBPの買収はその大きな節目となります」。
「中国のEコマース市場は今も成長を続けている。中国でのEコマースは単なる効率的ショッピングという意味合いだけでなく、社会的なエクスペリエンスでもあります。洗練された消費者の存在、ソーシャルメディアやさまざまなプラットフォームの急速なイノベーションやインテグレーションは中国国内でのビジネスチャンスとなるだけでなく、学びとして他国市場にも応用できる。ですからこの買収は、Eコマース市場における地位を堅固にし、可能性を高めるという我々の世界戦略と完璧に合致するのです」
DANは今後も更に、この分野における投資を続けていくという。「我々はEコマースを大きな成長機会とみなしています。これまでも長い間投資をしてきましたが、今後もこの方針は継続していく。最も重要なのは、急速に変化を続けるビジネス環境の中で、クライアントのどのような課題に対してもソリューションを提供できる能力を引き続き堅持していくことなのです」。
(文:ロバート・サワツキー、水野龍哉 翻訳・編集:水野龍哉)