山本氏は、社員の過労自殺問題で引責辞任した前社長の後任として2017年1月から社長職を務めていた。2020年1月には持ち株会社制度に移行し、名称が「電通グループ」となった。山本氏の後任には、電通社長として国内事業を統括してきた五十嵐博氏が就任する。
また、ティム・アンドレー氏が来年3月の定時株主総会後に執行役員を退任し、非常勤取締役会議長に就任することも発表された。山本氏はこの総会における承認を経て議長職も退任する予定で、電通グループの新たな経営体制では議長職と社長職が分割されることになる。
3月の総会では、アンドレー氏の意向で新たに4名の独立社外取締役も選任される予定。同時に、4名の現職が退任となる。
山本氏は声明で、自身の退任は「適切な時期」とコメント。「弊社の多様化やマークル(データマーケティング会社)の完全子会社化、データ主導と成長路線回帰による事業変革を達成することができた」(英文ニュースリリースより)
「こうした成果はガバナンスを強化し、弊社が進めてきた変革をさらに加速させ、持続可能な成長と企業価値の向上を実現させる」「この5年間、私は誇りを持って『電通の管理者』としての務めを果たしてきました。今後は五十嵐やウェンディ(・クラーク氏、電通インターナショナル・グローバルCEO)、榑谷(典洋氏、現・電通取締役副社長執行役員。同じく1月1日付で電通、及び電通ジャパンネットワーク社長に選任予定)が社員やクライアント、そして事業をさらなるダイナミックな変革に導いてくれることを確信しています」(同)
五十嵐氏は、「次期社長への就任を誇らしく思う」とコメント。「弊社は日本にルーツを持つ象徴的なグローバル企業。その強固なレガシーをさらに確立させていく」「クリエイティビティーとイノベーション、そして顧客中心主義という独自の『電通ブレンド』を、クライアントとのビジネスパートナーシップの構築・発展に引き続き生かしていく」(同)
電通インターナショナルは引き続き、クラーク氏がリーダーシップを取っていく。
(文:ロバート・サワツキー 翻訳・編集:水野龍哉)