リオ五輪が残したものについて、スポーツライターやソーシャルメディアの専門家は何日も論じている。だが今は2020年東京五輪の開催に向け、オリンピックの経験価値を刷新する方法について考えるべき時期でもある。以下に、東京大会がリオ五輪とはまったく異なるものになる点を挙げる(マリオが土管でワープした演出は含めていない)。
我々の視聴方法はテレビではなくなる。「我々」というのは「40歳以下の人」のことであるが、それでも TVの視聴率は明らかな下降を示しており、全体では15-20% 、ミレニアム世代では 30%も下がっている。視聴者はテレビ放送からストリーミング配信に移行するだけではなく、Snapchatのオリンピック動画ニュースなどソーシャルメディアでも楽しんでいる。五輪開始から約5000万人もの視聴者が、Snapchatを利用した。人々がどのように2020年東京五輪を視聴するかについて確かなことは言えないが、視聴者がテレビで観戦する初のオリンピックとなるだろう。
GIFが登場する。運営委員会が商標や知的財産権の保護に大変厳しいのは今に始まったことではないが、IOCの規制は特に厳しいことで悪評高く、今日の社会的慣習や行動様式にそぐわない。IOCはリーチと露出の制限によって競技やスポンサーの保護を図ってきたが、それがかえって価値を損ねている。だがIOCも、目を覚ましつつあるようだ。何年もの間、選手たちに公式スポンサー以外の企業の広告活動を禁止してきたが、IOCは規制を緩和し始めた。
ロボットが主催者となる。リオはYelp上で、あまり高い評価を受けていなかった。東京は機械学習とオートメーションを、オリンピックの経験価値の向上に役立てたいと考えている。日本政府は、早くも2017年には自動運転タクシーの始動に向けて制度を見直し、2020年東京五輪までの自動運転車の普及を目指す。オリンピック参加者の荷物を運搬し、タクシーを呼んで方向を指示するのに役立つ無数のロボットも登場するだろう。
サステナビリティーの新しいスタンダードがつくられる。十分に活用されることのない競技会場の建設に各都市が過剰に投資していると批判される中、IOCはサステナビリティーにさらなる重点を置くようになり、東京大会もその理念を継承した準備が進められている。ボーイング社はオリンピック来場者の輸送に伴う環境負荷を削減するため、藻類由来のバイオジェット燃料の導入をコンソーシアムと共に推進している。また日本政府は、選手村のエネルギーを水素エネルギーでまかなう目標を掲げ、3億米ドル以上を投資している。
同じ言語を話すようになる。2020年東京五輪で参加者に高品質のリアルタイム翻訳機を提供するため、日本の公共団体や民間団体は開発を急ピッチで進めている。自動翻訳機やソーシャルフィードの翻訳、一対一のやりとりができるボットの進化が組み合わされば、言語の壁を越えて2020年東京五輪を共有できるようになる日も遠くないだろう。
急進的なオリンピックとなる。2020年東京大会にはスケートボードやサーフィンが登場する。スノーボードが冬季オリンピックで爆発的な人気を集めたことを考慮すれば、いずれのスポーツもすぐに主要アトラクションになるだろう。これら競技の追加が、若者にオリンピックの魅力をアピールするためなのは明らかだ。そこで次のような質問が浮かんでくる。オリンピックの競技種目にeスポーツが加わる日はいつだろうか?
カイル・バンチ
R/GA
ソーシャル部門グローバルマネージングディレクター
(翻訳:PTSGI 編集:田崎亮子)