アサツーディ・ケイ(ADK)がクリエイティブエージェンシー「CHERRY」を発足した。従来の広告手法に捉われず、フレキシブルなサービスを提供していくことを目指していく。
本日より営業を開始した新会社の、代表取締役社長/ビジネスプロデューサーには鈴木聡倫氏が就任した。他にクリエイティブディレクター3名、アートディレクター、PRディレクターの計6名からなる設立メンバーは、いずれもADKからの出向。虎ノ門ヒルズにあるADK本社の近くに、独立したオフィスを構える。
ADKが本日発表した声明によると、CHERRYは従来の広告表現の枠組みに捉われず、「ブランドと世の中の最適な関係づくり」の実現を目指していく。人々の嗜好やライフスタイルの細分化、情報収集手段の多様化に伴って「広告をスルーしたり、信じない人々が世界的に増えて」いることが背景にあるという。
ADKによると、広告主は「従来の広告手法による接点づくりにとどまらない、持続的なブランディングを重視」するようになった。新会社は「社会的なニュースをつくる」ことと「ブランドのファンを育てる」ことに重点を置く。
ADKの広報担当者によると、新会社のクライアントにはスタートアップ企業、地方自治体、化粧品、飲料ブランドなどがあるという。
CHERRYという社名は、可能性が芽を開く様子や、未来へのフレッシュな見通しを、咲き誇る桜の花に見立てたものだとADKはコメントしている。
昨年12月の米ベインキャピタルによるADK買収後、初の大きな動きとなる。この買収劇は、従来の事業構造の限界をADKが認識していることを示唆するものであった。ADK取締役専務執行役員である中井規之氏は3月のインタビューで、より一層の機動性と堅牢なデータサービスが、同社の優先課題だと語っている。
ベインによる買収以降、同社は大きな動きを見せてこなかった。広報担当によると、「クリエイティブとソリューションの領域」で新しい戦略を策定中で、何らかの発表が近い将来行われる予定だという。
電通と博報堂も昨年、広告に限定されない総合的なソリューションを提供するため、コンサルティングユニットを発足させている。ただし両社とも本社の主要業務の一環としての位置付けであり、CHERRYのような独立的な組織ではない。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)