ごみが溢れる村で、人々はごみを投げ捨てることをためらわない。一人の行動が、次々と連鎖していく。
この状況に心を痛めた少年は、「もし僕たちが村をきれいに掃除し始めれば、他の人たちもそれに続くのでは?」と父親に問う。一人の力では解決できないと考えた父親は、「まずは帰って、家を(春節用に)飾ろう」と促す。
だが少年は友人たちに呼びかけて一緒にごみを拾い、それが大きな輪に広がっていく。「世界を変えることがどれほど難しいか、子どもたちには理解することが難しい。そしてそれを嬉しく思います」と父親は語る。一人の善い行いが皆に広がっていくことを実感でき、「世界に大きな変化をもたらす方法を、私たちは彼らからたくさん学ぶことができます」。
背景には、春節のために飾られた赤いランタンが映り込む。制作に携わったFCBマレーシアのアソシエイト・クリエイティブ・ディレクター、ジェームス・ブーン氏によると、ESG(環境・社会・ガバナンス)への企業姿勢と春節らしさの「微妙なバランス」をとることに苦労したという。「RHB銀行の春節のCMはこれまでヒューマンドラマを題材とし、それが人気を博してきました。このことを見失うことなく、深刻な環境問題にスポットを当てる方法を見つけるのに、いくつもの夜を過ごしました」。
このCMは実話に基づいており、清掃活動を始めた10名の子どもたちの写真が最後に登場する。
(文:田崎亮子)