このブースは資生堂がR/GA Tokyoと協働して開発した。10代から80代までの日本人男女から収集した多様な顔データに基づき、体験者の様々な年齢の顔立ちを3Dによってリアルタイムで再現するというもの。夫婦や親子、恋人同士などが向き合い、「瞬時にお互いの過去や未来の年齢を行き来できる」(プロジェクト担当者)という仕組みだ。
「beyond time(時を超えて)」と名付けられたこのデジタルタイムトラベル体験。R/GAのエグゼクティブクリエイティブディレクター、ニクラス・リリヤ氏はプレスリリースの中でこうコメントする。「大切な誰かと、瞬く間に様々な年齢になる体験をすることができたらどんなことが起こるだろうと思いを巡らせていた。親が子供よりも若くなったら。恋人がお互いが出会う前の姿で会ったら。友達があっという間に年老いたら。 時間という制約を取り払い、違う一面を見つけることができるというのは、お互いのよさを実感できるエモーショナルな体験であると思う」。
プロジェクトの土台となったのは、資生堂が長年実施してきた顔などの肌に関するリサーチ。R/GAが開発した「3Dフェイシャルエイジ・シミュレーション・エンジン」がこれを踏まえて1,300に及ぶ顔のデータポイントをチェック、同じくR/GAが収集した顔型のデータベースに応用することで、「科学に基づいた正確なエイジングのシミュレーションが瞬時に可能になった」。
R/GAはこのプロジェクトのため、資生堂に専門チームを派遣。「我々は資生堂と密に協働し、物理・デジタル両空間でプロトタイプを作り、定期的にアイデアをテストすることによって、比較的短期間で世界初の3次元リアルタイム年齢シミュレーションエンジンを作り上げることができた」とR/GAエグゼクティブテクノロジーディレクター、アントニー・ベイカー氏は話す。
(文:マシュー・ミラー 翻訳・編集:水野龍哉)