日本のインターネット広告業界において2016年は、AbemaTVやSpotify、Radikoのシェアラジオなど新しいサービスがローンチ。動画広告ではアウトストリーム動画の市場がようやく立ち上がりの兆しを見せ、今後の業界の発展を期待させる1年になりました。
本稿ではこれらを踏まえ、2017年に注目されるであろう(すべきであろう)3つのポイントを挙げていきます。
1. ビューアビリティーとアドクオリティー
ビューアビリティー(視認性)とアドクオリティー(広告が掲載されるメディアの質)についてはすでに議論されていることですが、より重要視されていくでしょう。動画広告の立ち上がりと音声広告の始まりにより、広告はリッチになっていく傾向にあり、これらの広告を利用した認知獲得や態度変容を求めるキャンペーンの増加が見込まれます。したがってビューアビリティーとアドクオリティーをより重視したキャンペーンプランニングが必要になってくるでしょう。
2. オムニチャネル
AbemaTVやTVerの動画広告、SpotifyやRadikoの音声広告、従来のディスプレイ広告をバラバラにプランニングし、それぞれの効果をクリックコンバージョン偏重型で効果検証していくのではなく、統合的にプランニングや効果測定していく仕組みと体制が必要となっていきます。
3. クロスデバイス
いくつかのデータベンダーが、来年度の日本市場への本格参入を予定しています。日本国内においてクロスデバイスデータを利用したキャンペーン評価は、現在Googleからのみ提供されていますが、データベンダーの参入により多くのDSPがデータを導入することになります。クロスデバイスデータは、オムニチャネルでのキャンペーン実施と効果測定を助け、これまでのクリックコンバージョン偏重型のキャンペーンプランニングや効果測定から視点を変える、良いきっかけとなるでしょう。
(文:新谷哲也 編集:田崎亮子)
新谷哲也氏は、米国のDSP大手「The Trade Desk」の日本におけるカントリーマネジャー。