※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
マザー、雇用維持の支援金を返還
英広告会社マザーロンドン(Mother London)は、一時帰休中の労働者の賃金を英国政府が80%肩代わりするという雇用維持スキームで受けた支援金を返還した。同社は今年4月に約200名の社員のうち32名を一時帰休させ、3万ポンド以上の給与を支払っていた者については報酬を繰延とすることでキャッシュフローの維持に努めてきた。だが同社はパンデミック期間中にドリトスやサムスン電子など16のクライアントを新規獲得し、既存顧客との取引額も拡大したため、一時帰休されていたスタッフも8月に戻った。
当初は2012年12月の返還する計画でいたというが、業績が好調なため前倒しした。グローバルCEOであるマイケル・ウォール氏は、パンデミック初期にこのような支援策を講じた英国政府に謝意を表し、「我々のチームの努力と貢献のおかげで、財政的な支援が不要になるという幸運な立場にいることに気付き、お金を返すことにしました」とコメントしている。
英国の広告会社で返還したのは同社が第一号のようだが、さまざまな業界でも同様の動きがみられる。英国歳入関税庁(HMRC)のスポークスマンは、特定の企業についてのコメントは控えたものの、今週総額5億ポンド以上(697億円以上)が返還されたことを明らかにした。
マインドシェアのグローバルCEOにゲアハルト氏
マインドシェアは、不適切な行動を理由に今年10月に解雇されたニック・エメリー元グローバルCEOの後任として、アダム・ゲアハルト氏を任命した。ゲアハルト氏は2003年に同社に参画し、現在は米国担当CEOを務める。「歴史的に、メディアは売買や取引されるものとして扱われ、コモディティ化する傾向にありました。しかし現実には、メディアはビジネスにとって巨大かつ効果的なカタリスト(触媒)となり得るものです」と語る同氏は、メディアの役割をビジネスの推進要因として、そして社会を良い方向へと導く力として高めていくことに注力していくという。
今年の年末商戦、消費者の買い物の動向は?
マッキンゼーが、今年の休暇シーズンの5カ国での消費者動向についてまとめたレポートを11月末に発表した。調査対象は米国、英国、中国、ドイツ、フランス。実店舗を訪れる買い物を計画している人は65%(2019年)から37%(2020年)へと減少したものの、「クリスマスの音楽を聴きながらお店を見てまわりたい」という要望も依然強く、オムニチャネル戦略が重要であることを示唆している。
パンデミック期間中にはロイヤルティも低下し、同レポートによると、新しいブランドや店舗を試してみたという人は40%に上った。一方、昨年と同じところから購入すると回答したのはわずか12%だった。なお、経済の先行き不安などによる消費抑制傾向を打破できるチャンスが、プライムデーやブラックフライデー、「独身の日」(中国の光棍節)などの大セールイベントだ。米国では72%、中国では93%の回答者がこれらのイベントへの参加に関心を寄せている。
2020年の広告費、予想よりも小さな落ち込み幅
グループエム(GroupM)、マグナ(Magna)、ゼニス(Zenith)がそれぞれ発表した広告費予測によると、今年の広告費は世界的に縮小したものの、6月に予測していたよりもはるかに小さな落ち込み幅であった。グループエムは6月時点では、今年の広告費は11.9%下落すると予測していたが、実際には5.8%減に踏みとどまった。マグナの発表した広告費も4.2%減(6月時点では7.2%減と予測)、ゼニスは7.5%減(同9.1%減)という結果になった。
上方修正する結果となった要因には、中小企業がeコマースに急速にシフトしたことや、大企業が第2四半期に停止していた広告支出を下半期に移したことなどが挙げられる。詳細についてはこちらから(英語)。
パンデミック中に見つけた希望
2020年も残すところあとわずか。新型コロナウイルスが話題となってからの1年間、外出自粛や経済停滞など、これまでの日常がままならない負の側面ばかりがクローズアップされがちだった。だが本当に悪いことばかりだったのだろうか? 「今まで時間がなくてできなかったことに挑戦できた」「修士論文を完成させるため本を読み漁った」など今年成し遂げられたことを挙げ、「それほど悪くもなかった」という側面を振り返るキャンペーンをオッポ(Oppo)が欧州で展開している。企画・制作はフレッド&ファリド ロサンゼルス(FRED & FARID Los Angeles)。
(文:田崎亮子)