David Blecken
2018年8月20日

HPが描く、3名の「ステレオタイプを超えた」女性たち

ノートパソコンの新しいCMが、これまでテレビに登場してきた女性像をほのかに、そして爽やかに打ち破る。

日本HPのノートパソコン「Spectre」の最新モデル発売キャンペーンが、固定観念を覆して生きる勇気を女性たちに与えている。

グローバルのブランドスローガン「Keep Reinventing(再発明を続けよう)」を日本向けに展開した本作品には、思い込みや周りからの視線に屈することなく自分の夢に向かって、力強く歩む3名の女性が描かれている。制作はBBDO JAPAN。
描かれているのは、キャリアを捨てて海外留学に挑戦する女性、結婚して落ち着くことよりも今はDJであることを選ぶ女性、そして幼い子どもを育てながらも海外出張先で果敢に挑戦する女性だ。

HPは今年上旬、このキャンペーンの制作にBBDOを任命。BBDOのトニー・ハリスCEOは声明で、「日本社会の現状」に挑む作品ではあるものの、「伝統的な価値観を軽んじようという意図はなく、21世紀のライフスタイルに合わせて近代化することを目指している」とコメントしている。

Campaignの視点:
テレビでは今もジェンダー・ステレオタイプ(性役割的偏見)が多くみられる中で、この作品は爽やかな変化を起こしている。登場する3名のライフスタイルはそれほど逸脱したものではないものの、勤勉な専業主婦像や若いOL像からは、確かにかけ離れたものだ。

この作品は、単に「オルタナティブな生き方」を提示しているわけではなく、彼女たちと同じような願望をいだく数多くの人々にとって、HPは共感しやすいブランドとなるだろう。

ここでいう「Reinventing(再発明)」とは恐らく、自分自身の再発明を続けることの自由を指しているのだろう。このことは、はっきりさせておきたい。あらゆるステレオタイプは「再発明」されるべきでなく、完全に破棄されるべきだというのが、私たちの考えだ。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

21 時間前

グローバル化と無関係でいられなくなった今、経営の視点でコミュニケーションのデザインを

1999年に設立から間もないフライシュマン・ヒラード・ジャパン(以下「FHJ」)に参画後、ウォルマート傘下で経営再建中の西友、デロイト トーマツ グループを経て、昨年4月にFHJのグループプレジデントに就任した金山亮氏。グローバル化が急速に進む日本市場で高まりつつあるニーズや、日本法人の取り組みなどについて聞いた。

1 日前

AIアシスタントはなぜ、ほとんどが女性なのか?

AIアシスタントに使われているのはほとんどが女性の声だ。その理由を歴史、科学、そして技術的背景から探る。

1 日前

世界マーケティング短信:TikTokの米事業売却期限が再延長

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

トランプ関税が広告業界に及ぼす影響

価格が上昇すると、米国ブランドに対する評判が損なわれ、支出削減につながる可能性がある。マーケターは、変化する経済情勢に対応する方法を学ばなくてはならない。