David Blecken
2018年10月02日

アウディ新型車、キーワードは「瞑想」

新型の主力セダンA8の日本向けテレビキャンペーンが始まった。セールスポイントは「静けさ」だ。

外界から遮断された、静かな「聖域」 −− アウディが新型A8のテレビCMをスタートさせた。

制作はワイデン+ケネディ トウキョウ。同社は最近発表された「A7スポーツバック」のCMも手がけ、都内を駆け抜けるスーツ姿の男性が車と一体化するイメージを作り出した。

A8のCMでフィーチュアされるのは、静かな湖畔や都会を見渡す建物の屋上、荒涼とした海岸に置かれたサイコロ状のフレームの中で瞑想する1人の男性。やがて映像はA8の運転席に座る男性へと切り換わる。

キャンペーンは印刷媒体でも展開される予定。こちらはテレビCMとは別のイメージも用い、車をフィーチュアしていく。

Campaignの視点:
このCMもA7のCMも適度に抽象的で、抑制された作りになっている。更に車の機能ではなくコンセプトに光を当て、「心の平穏を得られる場」とアピールする点が一般の車の広告と一線を画す。

車に対する考え方は、「自由を謳歌するツール」から「静かでプライベートな空間」へと変わってきた。東京の交通渋滞は深刻で、車で移動する人々が運転の楽しみを感じられることは滅多にない。その代わり、満員電車で通勤する人々では味わえない空間の快適さと「思索の時間」を確保できる利点がある。車を所有することのメリットを見出しにくい昨今、「日常生活のストレスから解放される手段」として車をアピールすることは大きなセールスポイントとなるだろう。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

グローバル化と無関係でいられなくなった今、経営の視点でコミュニケーションのデザインを

1999年に設立から間もないフライシュマン・ヒラード・ジャパン(以下「FHJ」)に参画後、ウォルマート傘下で経営再建中の西友、デロイト トーマツ グループを経て、昨年4月にFHJのグループプレジデントに就任した金山亮氏。グローバル化が急速に進む日本市場で高まりつつあるニーズや、日本法人の取り組みなどについて聞いた。

2 日前

AIアシスタントはなぜ、ほとんどが女性なのか?

AIアシスタントに使われているのはほとんどが女性の声だ。その理由を歴史、科学、そして技術的背景から探る。

2 日前

世界マーケティング短信:TikTokの米事業売却期限が再延長

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

トランプ関税が広告業界に及ぼす影響

価格が上昇すると、米国ブランドに対する評判が損なわれ、支出削減につながる可能性がある。マーケターは、変化する経済情勢に対応する方法を学ばなくてはならない。